ガルクラ総研②:全員が声優初挑戦!『ガールズバンドクライ』本格派の作中バンド“トゲナシトゲアリ”が語る舞台裏とこれから〈理名×夕莉×朱李〉


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――11話のライブシーンも反響が大きかったのではないでしょうか。

朱李:私たちも絵コンテでイメージを見ていただけだったので、実際にどんな映像になるのか放送直前までわからなかったんです。圧巻のステージに心が震えましたし、放送後の反響もかなり大きかったですね。キャラクターの過去の回想が出てきたときは、「みんなどんな気持ちでこのステージに立っているんだろう」「このバンドにどんな想いをかけているんだろう」とか、あらためて想像してしまいました。

――アニメの収録は終わっているのに、キャラの心情を考えてしまうことがあるんですね。

朱李:まだまだ、キャラについては考え続けています。特に私が演じるルパちゃんは、かなりミステリアスなところがあるので・・・・・・。

理名:心の中にいろんなものを抱えていて、それを閉じ込めちゃっている感じだよね。

朱李:そうそう。あんまり感情を表に出さないし、本音も話さないタイプの子。だから、やっぱり演じていても、まだまだわからない部分がたくさんあるんです。

夕莉:私も、ルパさんの過去はもっと知りたいと思ったよ。

朱李:ただ、わからないからこそ、それが演技としてうまくいったところもあります。私自身、まだ答えを出し切れていない感じが、ルパちゃんの魅力として伝わってくれていたら嬉しいです。

→(関連)第1回:考察の余地ありな“ルパと智”の関係性、5人の掛け合いは「家族のイメージ」

――そんなルパと違い、仁菜は感情をすべて言葉にするシーンが印象的でした。

理名:ルパさんと仁菜は、真逆の性格ですね(笑)。私自身、もともとは自分の気持ちを表に出したり、何かを主張したりすることはあまり得意でありませんでした。ただ、仁菜という感情むき出しのキャラを演じたのがきっかけで、自分をもっと出せるようになったかなと思います。この変化をバンドにも活かしていきたいです。

――ここまでの話を伺うと、桃香は、仁菜とルパどちらの面も持っていたのではないかと思います。

夕莉:桃香は、仁菜に引っ掻き回されて、段々と感情を出していったキャラクターです。初めは素っ気なかったり、どこか突き放す感じがあったり。声優としては、その”壁を作る感じ”をキャラとして出すのが難しかったかな。そういえば、仁菜と桃香は1話からさっそくぶつかり合っていたんですが、あの頃はまだメンバーとも会ったばかりだったので「理名ちゃんごめんね」と思っていました。いまはもう全然、誰にでもなんでも言えちゃうけど(笑)。

理名:うん、もうなんでも言ってるね。

朱李:全部言っちゃってます。

メンバーの関係性を一言で例えるなら……?

――みなさんの仲の良さが本当に伝わってきます。長く活動を共にするなかで、どのような関係になっていますか。

理名:もはや家族だよね。

朱李:家族だね。本当にずっと一緒にいるから、おそらく脳ミソまで一緒になっちゃってると思います。急に同じタイミングで歌を口ずさむし、笑いのツボも同じなので、一度ハマると全員で泣くほど笑っています!

夕莉:理名ちゃんからしたら、初めて東京に出てきて、こんなに一緒にいる人ほかにいないんじゃない?

理名:お母さん以外ではいないので、もう本当に家族かな。「友達以上、家族以上」って感じです。

夕莉:それもうなんなの(笑)。

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――『トゲナシトゲアリ』は楽曲レベルの高さが魅力ですが、ハイクオリティな演奏スキルを求められ続けているなか、どのようなバンドに成長したと思いますか。

理名:求められるレベルが常に自分たちの実力を超えていたので、限界を突破し続けてここまで来たバンドだと思います。個々の演奏技術もかなり向上しただけでなく、メンバー同士の仲が深まるに連れて、息もピッタリ合うようになりました。

朱李:初めのころは、一人一人の演奏技術は高いけど、バンドとしてはまとまらない状態だったので、スタッフのみなさんが頭を抱えていました(笑)。

夕莉:そうだったね(笑)。「とりあえず周りの音をよく聞いてみようか」みたいなところから始まった気がします。

朱李:楽曲レベルが高いこともあって、はじめは自分のことで精一杯だったんだと思います。 練習を重ねるうち、みんなの音のクセもわかるようになって、段々とバンドとして噛み合うようになっていきました。

夕莉:でも、オーディション中に一人で泣きながら練習してた曲を、みんなで初めて合わせた瞬間、あれ、すごく楽しかったよね?

朱李:そう!オーディション中は、楽曲のこととか誰にも話せなかったもんね。だから初めてみんなで一緒に演奏できたときは、すごく嬉しかったな。「同じ苦しみを味わってる人が私以外にも本当にいたんだ」って(笑)。

――理名さんは、上京当時はまだ15歳 だったとか。

理名:はい、最初の曲をレコーディングしたのが、中学3年生の3月でした。東京に引っ越してきてまだ一か月ぐらいだったので、あの頃は緊張でブルブル震えていました。もちろん、もとからいまほど歌えていたわけでもなく、最初はもうカミカミで……。高音域を求められていたのですが、そこは短期間でどうにかなるものではないので、まさに限界を超える日々でした。

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夕莉:はじめに発表した「名もなき何もかも」の理名ちゃんの歌声を聴くと、いまと歌い方が全然違って、成長を感じられるんですよ。はじめの頃は、なんか幼い(笑)。

理名:私も自分で幼いなって思う(笑)。

夕莉:いまは成長して、低い声もしっかり出て、大人っぽさも増したよね。

朱李:うん。歌声から圧を感じる!

理名:「名もなき何もかも」 は、私たちが最初に発表した曲で、YouTubeでMVが公開されています。アニメの7話で流れたものは劇中用に録り直しているので、ぜひ聴き比べて私の成長を感じてもらえると嬉しいです!

――アニメでは、キャラクターたちがぶつかりあうシーンが多くあります。家族のような仲のみなさんでも、バンドの高みを目指すなかで衝突することはありましたか。

理名:(前のめりに)ない!

夕莉:ぶつからないね。

朱李:ありません!

夕莉:バンドの練習をするときは、お互い「こうした方が良い」と意見は言い合います。でも、仲がいいからこそなんでも言えるだけで、ぶつかったことはないです。プロとしてバンドを結成して、初めての声優に挑戦して。そんな同じ苦難を乗り越えた仲間だからこそ、”一緒に混ざり合って成長してきた”というイメージがしっくり来るかな。

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著者 川上良樹

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