ゲーム会社の開発見直しや中止の動き、受託企業に打撃 最大手のトーセが売上大幅減、赤字転落
ゲーム開発受託大手のトーセは4日、2024年8月期の第3四半期決算を公表。3四半期連結の売上高が前年同期比27.6%減の32億4,300万円、営業損益が5億9,900万円の赤字となったことが分かった。
同社は前年同期の営業利益は4億4,700万円を計上しており、大幅な業績悪化が明らかに。同日公表した短信によれば、その主因はデジタルエンタテインメント事業における「複数の開発案件の中止」にあるという。
トーセは国内最大級の独立系受託開発専門企業として、ゲームソフトやモバイルコンテンツを中心にコンテンツの企画、開発、運営を行う。これまで任天堂、ソニー、カプコン、バンダイナムコ、マーベラス、MIXIと多数のゲーム関連企業と取引し、累計2,300本近い開発経歴を持っており、自己資本比率は85%超え、44期連続の黒字決算という健康経営を続けていた。
44期連続黒字の最大手が“開発中止”影響
しかし、今期第3四半期ではゲームソフト関連で顧客の方針転換などにより複数の開発案件が中止となったと報告。一部案件では期初から制作を進めていたものの、中止により見込んでいた売上が立たず、損失として計上することとなったという。
また、モバイルコンテンツ関連でも、開発中のスマートフォンゲーム案件で大規模なサーバー増強が必要となり、それに伴う作業の手戻りが発生。当初想定より開発スケジュールが遅れ、開発売上が減少した。同事業は結果として6億6,200万円の営業損失(前年同期は3億9,700万円の黒字)となった。
この業績悪化を受け、不採算案件や失注時の損失発生を防ぐため、プロジェクト管理ルールの強化と徹底に取り組むとしている。一方で、ゲーム等のグローバル市場は今後も成長が見込まれるとし、先進技術の研究開発や開発スタッフの育成に注力、海外顧客との商談機会の増加を図り、業績回復を目指す方針だ。
さらにトーセは同日、2024年8月期の通期連結業績予想を大幅に下方修正した。売上高は従来予想の55億2,000万円から48億3,000万円へと12.5%減少。利益面では営業、経常いずれも赤字転落の見通しとなった。