人気X(Twitter)運用サービスが苦渋の“値上げ”を決断…背景に「年間7,500万円」API利用料の重荷
SNSマーケティングツール「SocialDog」を運営する株式会社SocialDogは16日、同サービスにおける新料金プランを11月27日(月)にリリースすると発表した。
SocialDogはX(旧:Twitter)やInstagramに特化したアカウント運用ツールとして、アカウント開設数は100万超、国産SNSツールの利用者数1位を獲得するなどマーケティング担当者を中心に人気を集めている。
この度発表された新料金プランでは従来の3つのプランを大幅に改定。無償プランを「Lite」から「Free」へと名称を変更した上で、月額1480円の「Personal」と月額4,980円の「Professional」、月額19,800円の「Business」、月額40,000円の「Enterprise」を新設し計4プランでの提供を予定している。なお、旧プランの利用者も2024年1月下旬以降の料金請求日より新プランへの移行が行われるとのことで、12月以降に詳細を発表するとしている。
新プランのリリースに至った経緯として同社は「皆さまのSNSマーケティングにさらに貢献できるプロダクトにするため、X(Twitter)APIの有料化、X(Twitter)以外のSNSへの対応を踏まえ、新しい料金プランをリリースすることといたしました。」とコメントしている。
SocialDogはXのタイムラインやフォロワー情報などを「Twitter API(外部からTwitterへの情報にアクセスする開発者向けの機能)」を利用して取得しているが、本年3月よりX社(旧:Twitter社)はAPIの利用に関する規制を強化し「原則有料化」の方針を打ち出した。4月より「Freeプラン」「Basicプラン」「Enterpriseプラン」の計3プランでの提供が始まると、「Feather」「Twilog」といった個人開発者による人気サービスが続々と提供を終了。今回の「SocialDog」のような企業運営の大規模サービスでは高額な「Enterprise」プランの契約が強いられていた。
新プランの発表と同日、同社CEOの小西将史氏は自身のXにてEnterpriseプランの契約には年間7,500万円(月4.2万ドル)を支払わう必要があることを明かしており、今後の事業継続のために“値上げ”への理解を求めた。小西氏は続けて「プランの契約締結までに2ヶ月半かかった」「APIリクエスト数の99%以上を削減せよと通告された」といったXとのやり取りでの苦悩を明かしており、Xへの依存リスクをより一層低減する必要性があると強調した。
リストラを進めたせいで慎重に確認する人員がいなかったのか、多くのサービスで急にTwitter APIが止まったりしました。
SocialDogでも急にAPIが停止しました。
APIの再開には、一番下のプランで年間7,500万円(月4.2万ドル)の高額なEnterprise APIの契約が必要でした。https://t.co/SFyELtodvs
— koni|ユーザー100万超のSaaS代表 (@koni) November 15, 2023
中でもEnterpriseであってもAPIリクエスト数の条件はかなり厳しく、SocialDogで当時利用していたAPIリクエスト数の99%以上を削減せよと通告されていました。
これはかなり大変でしたが、開発チームの必死の対応と無料プランの事実上廃止でなんとか達成できました。
— koni|ユーザー100万超のSaaS代表 (@koni) November 15, 2023
※TwilogはTogetherに併合する形で運営を再開しています