【解説】X(Twitter)で“スパム投稿”急増…フィッシングサイトへ誘導する悪質な例や「トレンドが機能してない」不満の声


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直近のX(旧:Twitter)を巡り、危険なスパム投稿が確認されたという報告が多数行われ注目を集めている。

今回報告が相次いだのは海外のスパムアカウントが投稿したポスト(旧:ツイート)で、「ラーメンは危険だ ラーメンは非常に危険であることが検査で判明」と不自然な日本語とともに、記事に扮したリンクが添付されているというもの。当該リンクにアクセスしてみると、赤一色の背景に変わり「偽のサイトにアクセスしようとしています」との警告メッセージ画面になる。そのまま無視してアクセスすると「あなたはウイルスに感染しています」と訴えるフィッシングサイトが表示され、Xでは危険性の高いスパムとして注意を呼びかけていた。

今回のフィッシング行為を誘導する投稿は最低でも約1万回以上表示されたことで、現在では投稿は削除されているほか、アカウントは運営により凍結されている。しかしながら、同様の投稿は(日本語圏外で)複数確認されており、中には仕様変更を巧みに悪用してアクセスを誘発したり、危険なサイトに誘導するものも多く存在する。

Xではこのようなスパム投稿は以前から存在していたものの、直近では検索やトレンドワードにアクセスした際に「遭遇する確率が急増した」と感じるユーザーの声が相次いでいる。実際、トレンドワードの中には無関係な画像や動画が並び“トレンド”の意味をなさない事例も少なくないほか、大手ニュースアカウントのリプライ欄ではアラビア語のスパム投稿が乱立しているのが現状だ。

この背景について、イーロン・マスク氏によるXの一連の改革で「収益還元」システムが導入されたことに加え、2022年末にTwitterのトレンドアルゴリズムが公開されたことにより、リンク誘導や収益獲得を目論むスパム業者が増えたのではと指摘されている。また、リプライ欄を巡っては、有料プラン「X Premium」に加入するアカウントのリプライは通常のリプライよりも上位に表示されるという優遇が行われたことで、悪用者が急増し、スパム投稿を目にする機会が増えたとされている。

これらの投稿の中には先程の例のように危険なサイトへのリンクが含まれていることもあるため、安全なサイトかどうかを見極め、無闇にアクセスしないようにすることを心に留めて置く必要がある。加えてXでは「リンクプレビューの見出しが削除される」という新たな仕様変更により、画像と誤認させアクセスを仰ぐ事例も増えつつあり、より一層注意しておきたい。

なお、アカウント欄の「青いチェックマーク」は仕様変更により、X Premiumに加入していることを示す役割しか持たなくなっているため、信頼性の担保は無いことにも注意したい。

こうした状況についてX側は「電話番号認証」や「Twitter APIの大幅規制」などのスパム撲滅に向けた取り組みを実施してきたが、状況の改善は一向に見られない。また、最終手段としてなのか「アカウントの新規登録を有料制(150円程度)にする」という試験的な取り組みを一部地域で行うことが先日報じられているが、価格面含め本格的な改善につながると期待するユーザーは少ないようだ。

※本例のようなサイトへのアクセスは非常に危険な行為です。絶対に真似しないでください。