まさかの“ギャバン復活”の噂…混沌とした令和の今、『宇宙刑事』はどんな犯罪と戦うのか?


まさかの“ギャバン復活”の噂…混沌とした令和の今、『宇宙刑事』はどんな犯罪と戦うのか?

小学生の頃、クラスメイトの1人が将来の夢として「宇宙刑事」を挙げていたことを今でも鮮明に覚えている。彼が憧れていたのは、1982年に放送された『宇宙刑事ギャバン』。東映が制作するメタルヒーローシリーズの中でも、屈指の知名度を誇る伝説的作品だ。

筆者は1984年生まれでリアルタイム世代ではないが、その同級生には兄がいて、家族が録画していたVHSテープを繰り返し見ていたという。宇宙刑事への憧れは彼にとって本物だったが、彼は今も地元にいるそうだから、残念ながら宇宙刑事にはなれなかったようだ。

そんな『宇宙刑事ギャバン』を、東映は折に触れて復活させてきた。2012年には『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』で大々的に復活し、同年10月には単独作品『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』も公開。以降も劇場作品への出番が用意されてきた。

そして今、新たな動きが報じられている。11月10日に伝えたところによると、テレビ朝日系列で放送中の戦隊シリーズが一旦終了となり、その枠に『宇宙刑事ギャバン』の新作が収まる可能性があるというのだ。

テレビ朝日も東映も公式発表はしていないため、あくまで噂の段階ではあるが――『相棒』をはじめ刑事モノに強いテレ朝で、『宇宙刑事ギャバン』が令和の時代にどんな姿で蘇るのか。期待は高まるばかりである。

ギャバン復活!?今振り返る宇宙刑事の栄光

そもそも『宇宙刑事ギャバン』とは、銀河連邦警察から地球に派遣された一条寺烈(演:大葉健二)と、宇宙犯罪組織マクーとの戦いを描いた物語。

戦闘に際しては烈の「蒸着!」の声に応じて、衛星軌道上からコンバットスーツが転送され、あっという間に装着が完了する。
劇中では僅か0.05秒に過ぎない、その蒸着プロセスをスローモーションという形で丁寧に描写するシーンが好評となった。

相対するマクーは宇宙犯罪組織というだけあり、数々の惑星を支配する巨大な一団。
『電撃戦隊チェンジマン』の敵組織・大星団ゴズマのような大所帯となっており、銀河連邦警察樹立よりもかなり以前から組織の体を成していた。

前述の劇場作品でもマクーの残党が登場しており、未だにその影響力は失せていない様子。ちなみに筆者は、一般的にはクソゲーの烙印を押されがちな、2006年発売のプレイステーション2専用ソフト『宇宙刑事魂』を当時好んでいた。

操作性は劣悪で意味の分からないミニゲームも多く、裏ボス・暗黒銀河女王(演:曽我町子)の理不尽な強さが不評の主要因のようだが、特撮愛に満ちたソフトなのでぜひギャバン好きは食わず嫌いせずに遊んでみてほしい。

考察・令和版ギャバンはどんな犯罪組織と戦うのか…

とはいえ、『宇宙刑事ギャバン』が放送されていた1982年から今に至るまで、時代は大きく変遷してしまった。もしも報道通りに本作が令和の時代にまた戻って来るとなった場合、ギャバンはどういった犯罪と対峙することになるのだろうか…。

オリジナル版で描かれたマクーの暗躍は、枚挙に暇もない。毎回あの手この手で人々を、ギャバンを苦しめてきた。

ある意味、特撮ドラマの敵組織の悪事としては、おおよそやり尽くしている感も否めないが、もしリメイクされるならば、テレビ朝日系列で放送するとなると、犯罪のバリエーションにも期待できそうだ。

嫌な話になるが、昭和の時代には存在しなかった犯罪も今はかなり増えた。

悲しいことに、オリジナル版でもまだ踏み込んでない生々しい犯罪は、今なら色々と思い浮かんでしまう。オレオレ詐欺、闇バイト、そしてオンラインカジノも問題になっている。

そうした題材をそのまま改変せずに放送するのは子供向けとしてあり得ない話ではあるが、少し手を加えると面白い素材に変化するのではないだろうか。

混迷の現代には、凶悪犯罪に決然と相対する宇宙刑事が必要なのかも?

何においても、現代は選択肢が増えてきた。
人生の歩み方も昔に比べると多種多様だし、職業のバリエーションだって増えている。ただ、同じように不幸のバリエーションも、残念なことに増えてしまった。

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たとえば犯罪にしたって、前述のように描けるモチーフは昭和よりもかなり豊富になったけどことは明らかに不幸なことだ。

スマホやパソコンのメールフォルダを開けば、いつの間にかスパムや架空請求の入り口のような紛らわしいメールが届いていたり、警察を名乗る不審な電話が、あの手この手でお金を振り込ませようとしてきたり…
そんな時代には、ギャバンのような存在が必要なのかもしれない。

著者 松本ミゾレ