「古いモノだから価値がある」は間違い!キン消し、ガン消し、怪獣消しゴムは最後期ほどプレミアム


「古いモノだから価値がある」は間違い!キン消し、ガン消し、怪獣消しゴムは最後期ほどプレミアム

子供の頃、ガシャポンを回した経験を持つオタクは多い。そんなガシャポンの、昭和から平成初期にかけての花形とも言えるコンテンツが、塩ビ人形だ。

「〇〇消しゴム」というような略称で呼ばれていた塩ビ人形は、一部の限定品を除き、基本的には無塗装。塩ビなので当然消しゴムとしての機能はないが、質感は消しゴムっぽい。有名どころで言えば『ウルトラマン』の怪獣消しゴム、続いて『キン肉マン』の消しゴム。こちらは通称“キン消し”が空前の大ヒットを記録した。

さらに『機動戦士ガンダム』シリーズのさまざまなモビルスーツがSDアレンジ体型で立体化されたガシャポン戦士。通称“ガン消し”も相当数リリースされている。

怪獣消しゴム、キン消しは基本的には一発抜きで付属パーツがつかない商品形態になっているが、ガン消しの場合は武器や盾といった付属品がランナーで本体と繋がった状態で成型されているのが大きな特徴となる。

そんな各種塩ビ人形について、オタクである筆者は、5年に1回ペースで知人からある質問を投げかけられる。

その質問というのが「家にある消しゴム人形、プレミアついてないかな?」だ。

基本的に「古いから高い」が通用しないのが消しゴム人形

昔流行ったガシャポンの消しゴム人形。

筆者は現在41歳だが、子供の頃には既に怪獣消しゴムブームは終焉しており、キン消しもそんなに見かけなかった。

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一番回す機会が多かったのが、当時映画が1年おきに公開されていたゴジラの消しゴムだが、次点でガン消し。こちらはカードダスとあわせて子供にとっては人気のコンテンツだった。

思い出せば、大将軍などを狙って100円を投入するが、なかなか目当ての立体物は手に入らず、大体ザクⅡ改ばかり出てた気がする。今もいくつか手元に残っているが、プレミア価値がついているようなものはほとんどない。

筆者と同世代の人たちからは、しばしば「ガン消しって今高くなってない?」と金相場みたいなノリで質問をされることがあるのだが、これに関しては少しだけ市場価値に明るいため、具体的に返答をすることが可能。

でも大体、質問者たちが持ってるというのは初期のガン消しや、外伝(ナイトガンダムとかがラインナップされているバージョン)の最初の方。初期ということは、それだけ古いわけだから価値もありそうなものだが、これはガシャポンにおいてはあまり当てはまらない。

怪獣消しゴムもキン消しもガン消しも、初期シリーズは数が出回っており、第1弾、第2弾などは特に流通量も多く、その後の再販も頻繁。

そして最初の方のシリーズって基本的に当時の子供たちも嬉々として入手したがるので、現存数もまた多いのだ。つまり、たくさんあるから、いくら古くても価値がつきにくいというのである。

傾向としては、シリーズ人気が落ち着いてきた終盤のラインナップが高額になりがち…

逆に、シリーズ後期の商品ほど、市場価値は上がりプレミア価格もつきやすくなる。

なぜなら、シリーズ終盤になると出荷数も顧客も減っていくというのが、ありとあらゆる商品の宿命だからである。

最後まで一貫して買い支える顧客は、昔も今も相当少ない。その少ない子供たちが、周りの同級生がとっくに次のトレンドに移っているのを尻目に集めていたアイテム。そういうのが今ではプレミアになっているのだ。

特にガン消しの場合、後期商品かつ本体と付属品をつなぐランナーが未切り状態の後期アイテムは分かりやすく価値が高まる傾向にある。

とはいえ、なかなかそんな完全に近い状態で保管している人というのはなかなかいない。だから余計に価値が増すのだろうが。

消しゴム人形に限らない話ではあるが、こういうのは「昔集めてたんだよなぁ」というコレクター気質の小金持ちが戯れに買い揃えていくうちに、大体シリーズが終わる間際のアイテムがほとんど見つからないことに気付き、焦る。

フルコンプを狙っている場合は焦りながら中野に通ったり、ヤフオクに張り付いたりして目当てのものを探す。

そして探し物が見つかったら、そりゃあもう多少の出費もいとわず購入してしまうのも仕方がない。それが筆者を含むオタクの性なのだから。

プレミアがつかなくたっていいじゃない!その消しゴムの魅力はすさまじい

しばしばメディアやSNSでも「実家の蔵に眠っている塩ビ人形が驚きの価格で売れるかも?」みたいな話題が持ち上がることはある。

でも実際にそんな都合のいい話はそうそうない。専門的な話をすればポピー(旧バンダイ)の怪獣消しゴムの1期なんてフルセットでもろくな買値はつかないこともある。

それよりも丸越のベムスター単品の方がよほど価値がある。だが、たとえ金銭的価値がなくても、人形としての価値がないわけではない。

実家に残っているのなら、それは大切な子供の頃の思い出の品ということになる。

また、大量に余っている当時品をベンジン漬けして油を抜き、その後塗装するといった手間のかかる趣味を持っているオタクもいる。というか筆者もその一人だ。

それに古い塩ビ人形と言えど、その造形は今の目で見てもなかなか素晴らしいものばかり。

プレミアはつかないものであっても、手放さず、むしろ安く入手できることを逆手に爆買いし、大事にするのもオタクとしての楽しみ方の一つの理想形ではないだろうか。

著者 松本ミゾレ