「スーパー戦隊終了」は杞憂?ライダー、ゴジラ…“休止期間が長かった”特撮たちを振り返る
テレビ朝日系で50年以上の歴史がある『スーパー戦隊シリーズ』が終了するとの報道が昨今SNS上で話題となっている。3日には続報として「週刊女性PRIME」(記事を読む)が、後継に刑事モノ設定の特撮番組を放映する内容をリリースしており、こちらも特撮ファンから注目を集めている。
断っておくと、戦隊シリーズを制作している東映はこの“噂”について、11月4日時点で公式のプレス向け発表などは行っていない。そのためあくまでここからの話は、噂が噂ではなかった場合を想定しての内容となるが、個人的には仮に戦隊が終了するとしても、そこまで深刻視しなくて良いと考える。
というのも、古今様々な特撮シリーズが存在してきたが、いずれも情勢などで一時休止することはよくあることだったからだ。これは特撮マニアの方々にとってもお馴染みの状況ではないだろうか。
ウルトラ、ライダー…いずれも長い休止期間を挟んでいる
現在、国内でも知名度が高いヒーロー特撮の“御三家”は円谷プロの『ウルトラマン』、東映の『仮面ライダー』そして『戦隊シリーズ』。
戦隊シリーズは今回、降って湧いた放送終了という話題に見舞われているわけだが、実のところウルトラシリーズも仮面ライダーも放送が途絶える期間は存在している。
筆者は1984年生まれで、物心ついて特撮番組を認知した1987年頃には『仮面ライダーBLACK』が放映中だった。ところが円谷プロはその後、1980年放映の『ウルトラマン80』以降しばらくウルトラシリーズを制作していない。
そもそも『80』より以前となると『ウルトラマンレオ』が放送されていたが、それも1974年のことである。当時は制作費の兼ね合いもあったことが推察されるほか、74年はオイルショックにも直面。現場はかなり苦労をしたという。
こうした事情もあったため、筆者と同世代のウルトラマン好きの子供は、ソフビ人形や絵本、怪獣図鑑にビデオなどでしか、ウルトラマンと触れ合う機会がなかった。
『80』以降、円谷プロはしばし休止期間を挟んで、海外を舞台とした『グレート』や『パワード』などを制作するも、これらはテレビシリーズではなくビデオレンタルを前提としたもの。一応単体作品として『ウルトラセブン』のテレビスペシャル版なども放送されていたが、テレビにシリーズ作品のウルトラマンが復帰したのは『ウルトラマンティガ』の1996年だった。
一方のライダーも『BLACK』の続編である『RX』放送以降にテレビシリーズは休止。いくつかの劇場版を除き、復活は2000年の『仮面ライダークウガ』まで待たなくてはならない。
そうしたなかで戦隊シリーズは、1975年の『秘密戦隊ゴレンジャー』から継続して特撮番組を作り続けてきたのである。
特撮の始祖『ゴジラ』は「最後じゃなかった」事例も
ここで、特撮の王道『ゴジラ』も振り返ってみたい。1954年に公開された映画以降、数々のシリーズ作品が制作・公開されてきた特撮の始祖とも言える作品だが、そんなゴジラシリーズもまた、1975年上映の『メカゴジラの逆襲』で一区切りつけており、しばらく制作されることがなかった。
復活は1984年。タイトルも原点回帰で『ゴジラ』として再度スクリーンに帰ってくる。
以降、平成ゴジラシリーズやVSシリーズと呼ばれる一連の物語は毎年冬の風物詩となったが、1995年公開の『ゴジラVSデストロイア』で一旦シリーズ幕引きとなる。キャッチコピーは『ゴジラ死す』。84年以降登場してきた個体としてのゴジラの死が描かれた。
当時は「これでゴジラ映画も見納めだ」と、筆者も周りの友人も嘆いたものだった。
ところが、1999年には『ゴジラ2000 ミレニアム』が公開となった。このあたりで、ライダーやウルトラの件もあり、筆者は「こういう特撮って一旦終了したように見えても普通に復活するんだな」と理解するようになった。
2004年には『ゴジラ FINAL WARS』が公開。こちらも95年と同じように、これが最後のゴジラ映画だ! という宣伝を見かけることもあったが、前例を知っているので受け流したファンやオタクも少なくないだろう。
実際、2014年にはハリウッド2作目のゴジラ映画も公開されて大反響。2016年には『シン・ゴジラ』が公開され現在も活発に展開されているので、全然最後ではなかった。
コンテンツの認知度こそが最大の強み
こういった具合に、知名度の高い特撮のなかには「これで幕引きです」と製作側が言っても、復活する事例が多々存在する。そのため、筆者はこれまでそうした状況を見てきているので、今回の戦隊シリーズに関しても不安視していない。
『週刊女性PRIME』の記事では、テレ朝で放送する戦隊シリーズは終了するものの、すぐに後続の新しいシリーズの制作もスタートしつつあるとの旨が記載されている。
それが刑事モノ設定の特撮ということのようだが、これは東映が過去に放送したロボット刑事や宇宙刑事のテイストが復活するという形になる。もしこれが事実であれば、長く途絶えていた刑事モノ特撮が蘇ることになるわけで、いちオタクとしてはありがたい。
しかし、仮に”噂”が事実で戦隊が終わるのだとしても、そこまで危惧しなくて良いのではないだろうか。ウルトラ、ライダー、戦隊は多くの人々に認知された特撮ジャンル。人々が望み、求めたときに復活するのがヒーローの宿命なのかもしれない。

