【解説】食玩、ただ集めるだけでは勿体ない?新作『超動ウルトラマン』を簡単塗装でよりリアルに


【解説】食玩、ただ集めるだけでは勿体ない?新作『超動ウルトラマン』を簡単塗装でよりリアルに

バンダイは9月29日、食玩『超動αウルトラマン13』と『超動αウルトラ怪獣5』を同時発売した。同商品ら簡単に言えば10cm前後の精密な造形の可動フィギュアがガムと同梱されたもので、このガムが結構美味い。その上おまけ商品となるフィギュアは、最低限の塗装も施されており、気軽に集めるにも良いという。

普通に購入して飾るだけでも見映えのするこの食玩。しかしながら塗装されていない箇所にもモールドは彫られている。そのため、腕に覚えがある方、もしくはちょっと手元に塗料があって暇という方には、追加塗装を楽しむ余地も生まれる。

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「いやいや、追加塗装を楽しむとかじゃなく、普通に製品版の時点で塗っててくれよ」と言いたくなる食玩ファンも多いかもしれない。しかし今はご時世的にもなかなか無理が通らない時代。

きっとコストを切り詰めて何とか新商品を市場に送り出しているのだろう。ここでは今回ラインナップされていたアイテムの中から、ウルトラマンキングを題材に、塗装についての紹介していきたい。

小サイズながら造形がほぼ完ぺき。そのままで十分だが…

『超動ウルトラマン』は現状で13弾まで発売されているシリーズ玩具。何度か商品名と仕様には変更があったが、大まかな特徴は第1弾発売時点から変わらない。塗装を施されて程よい可動範囲を有する小さなアクションフィギュアだ。

可動範囲も時間が経過するにつれどんどん追加されており、同じキャラクターでも可動範囲を増したバージョンとして再販されることも多い。ただ、やはりコストカットのために背面などは基本的に無塗装。非常に質素な印象をおぼえるところではある。

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▲こちらが商品の塗装状況。不景気な中でも奮闘の痕跡が窺える

そこでこの背面などを中心に、塗装されていない部分を塗り足して補完するオタクも少なくない。恐らくこのコストカットのための塗装省略という姿勢は今後も続くと思われるので「ちょっと興味がある」という方はこのタイミングで挑戦してはいかがだろうか。

挑戦と言っても、塗られていない部分を塗装するだけ。

しかも小サイズフィギュアなので範囲も小さい。範囲が小さいということは、使う塗料もそれだけ少なくて済むということ。材質はABSもしくはPVCで、これらは食玩フィギュアの素材としてメジャー。塗装に際しては市販の塗料でも十分だったりする。

アクリジョン、シタデルカラー、ファレホ、ソフビカラーなど、模型趣味がある方なら自宅に揃えているようなものが適している。シタデルやファレホはやや高額だが、アクリジョンなら家電量販店で安価で入手可能だ。これらは筆を水洗いすることができる上に匂いもない。

家族やペットの健康を阻害するものでないのが嬉しい。

最近の水性塗料は性能が良い!スムーズに塗れる

塗料さえあれば、後は筆で足りない部分に色を乗せていくだけ。近年、水性塗料であっても隠蔽力が高いものが増えており、何度も重ね塗りをしないと地の色が透けてしまうといったケースも過去のものとなりつつある。

下地処理を特にしなくても、そのまま一発塗りで素人目にはなんとかなったと思えるような力が、最近の水性塗料だ。

ただし白や黄色系統はまだまだ隠蔽力に難があるものが多い。こうした場合はサーフェイサーを吹くなどの対処か、昔ながらの薄く重ね塗りを丹念に行う地道な作業が必要となる。

もっとも、シタデルカラーの白系統BASEを使えば隠蔽力の高さで何とかなってしまうので、あまり警戒する必要はない。

『超動ウルトラマン』は各パーツをジョイントで接続するタイプのフィギュアなので、塗装にあたってはまずパーツをバラバラにすると、各部の細かな塗装がやりやすい。

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▲色が乗っていない部分を図鑑や着ぐるみ画像などで調べて、足りない部分を塗る

今回の作例、ウルトラマンキングの場合は胴体だけでなく両手足にそれぞれ塗装省略箇所があるので、まず四肢を分離させて個別にちまちま塗っていくこととした。…と言っても省略されている箇所はそう多くない。

胴体の紫、股の銀、両手足の金パーツ、後は肘の白いファー。あとは背中。塗料が乾燥するまでの時間を除くと、純粋な作業時間は1時間ぐらいで終わるのではないだろうか。

自分の手で塗装を完了させてみるときっと満足できるはず

20年ぐらい前の食玩バブルの頃には、コンビニでも10回以上の工程を経て精密な塗装を施されたであろうおまけつきの食玩が多数陳列されていた。当時はまだ生産国の人件費も安かったので、そういったハイクオリティな食玩が今よりかなり安く売られていた。

フィギュアの背面も抜かりなく塗装されていたわけだが、今はもうそういった無茶は出来ないご時世である。

一方で可動フィギュアの精度と言ったらかつてよりもかなり洗練されている。

せっかくの良い可動フィギュアなので、足りない塗装は自力でどうにかしてみて、昔の食玩ブーム時代のアイテムと並べてもそんなに不自然ではないモノを生み出すのも楽しいものではないだろうか。

著者 松本ミゾレ