放送目前『ウルトラマンオメガ』主人公はどっち?憑依型と擬態型に分けられる正体とは【解説】

7月5日(土)あさ9時から、テレ東系6局ネットでのテレビ放映とあわせ、YouTubeでも世界同時期配信がスタートする『ウルトラマンオメガ』。今作でウルトラマンオメガに変身する主人公のソラト(演:近藤頌利)は記憶喪失状態で地球に落ちてきたウルトラマンという設定になっている。――つまり彼は宇宙人ということになる。
ウルトラシリーズでは主人公がウルトラマンに変身・巨大化することがクライマックスの定番となっているが、この変身には二通りの意味がある。
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一つが普段は仮に人間の姿をとっているものの、怪獣と戦う時には擬態を解いて本来の姿になる、いわば“擬態型”。そしてもう一つが元々主人公は地球人だが、ウルトラマンから何らかの干渉を受けて一心同体となり、危機に際してはウルトラマンの力を借りて巨大化するという“憑依型”。
おおよそウルトラシリーズの主役は、この二つに系統が分類される。『ウルトラマンオメガ』の主人公の場合は、擬態型ということになるのだろう。
今回はこの擬態型と憑依型。それぞれのウルトラマンについての話をちょっと展開しつつ、ウルトラマンだけに限らない劇中の擬態型、憑依型の宇宙人についても触れていきたい。
「子どもの頃観てたあのウルトラマンの主人公はどっちなんだっけ?」というようなことを思い返しながら読んでいただければさいわいだ。
ウルトラセブンに代表される擬態型ウルトラ戦士たち
1967年に円谷プロが制作した『ウルトラセブン』。主人公の名はモロボシ・ダンと言う。彼は元々地球を守るために派遣された存在ではなく、恒点観測員340号という役職でこの星に降り立っていた。この役職は宇宙の地図を製作するような仕事だとされている。
340号は地球で職務に従事していた際にたまたま目撃した薩摩次郎という地球人の青年が、友人を助けるために自ら犠牲になる姿勢に感動。彼を救助すると共に、その姿をモデルとして目下様々な侵略者の魔の手が伸びつつあった地球防衛のために、モロボシ・ダンを名乗ってウルトラ警備隊に入隊する。
そのため、体組織も体温も地球人のそれとは異質で、終盤では90℃近い滅茶苦茶な発熱のせいで正体が発覚するのを恐れ、基地を離れるなど擬態型特有の苦労も味わっていた。
同じ擬態型のウルトラマンは数多く、ダンとも縁の深いウルトラマンレオや、ウルトラマン80。ウルトラマンメビウス(擬態に至る経緯もセブンと酷似)などはよく知られている。
そのため、ウルトラマンオメガにとって同作は「擬態型の大先輩」と言えるかもしれない。となると、人間体のソラトにもモデルとなった地球人がいるのかも……。
初代ウルトラマンはこっち!憑依型ウルトラ戦士の特徴
一方で憑依型のウルトラマンは擬態型よりも多く、1966年放送の初代『ウルトラマン』の主人公、ハヤタ隊員はパトロール中にウルトラマンと衝突して死亡する。
そのお詫びという形でウルトラマンが一つの生命を共有する形でハヤタを生還させており、ついでに地球防衛のための協力まで惜しまなかった。
最終回「さらばウルトラマン」では強敵・ゼットンにウルトラマンが完敗。その際に光の国からゾフィーが迎えに来るシーンで、ウルトラマンは共有している命をハヤタに託して地球を去りたいという思いも語っていた。
非常に責任感の強い宇宙人。それが初代ウルトラマンだったと言える。
そして1971年には『帰ってきたウルトラマン』の放送がスタート。このウルトラマンは初代とは別のウルトラマンで、勇敢な若者・郷秀樹と一心同体となって怪獣から人類の自由と幸福を守るために戦うことを決心する。
この作品の面白い点は、憑依型でありながら徐々にウルトラマンと郷が本当の意味で一心同体になっていく過程にある。話が進むにつれ、特段の説明などは入らないものの、郷が本物のウルトラマンとしてのメンタリティを宿していくのだ。
当初は危機に際して変身方法が分からず「ウルトラマンになれ!」とつぶやいていた郷も、やがて自分の意志でウルトラマンとして巨大化。結果、最終的には光の国に敵の宇宙船団が迫る危機に際して、先兵部隊であるバット星人と二代目ゼットンを相手取って勝利することになった。
その後、光の国に助太刀に行くことを「旅に出るんです。ふるさとだ」と表現。郷はウルトラマンに変身し、光の国へ帰っていった。この時点で郷の意志とウルトラマンの意志は統合されていたのかもしれない。
有り体に書けば憑依型ウルトラマン設定が擬態型ウルトラマンにすり替わっただけなようにも思えるが、ともかく以降、郷は度々地球には戻るものの、実家に立ち寄ったという発言をすることはなかった。(一応劇中では郷も実家に母親が健在である旨のセリフを述べるシーンがあるが、この時点で本当の母親についての言及はない)
バルタン星人は憑依型と擬態型、どっちも存在するぞ!
さらに深掘りしていきたい。「憑依型、擬態型」という概念は実はウルトラマンだけでなく、敵である宇宙人にも存在しており、これがウルトラシリーズの面白い点だ。
たとえばシリーズでも随一の知名度を有する「バルタン星人」の場合、彼らがそもそも20億人以上いたためか、擬態する者もいれば憑依する者もいる。
『ウルトラマン』第2話「侵略者を撃て」では、人間との対話をスムーズに進めるために科学特捜隊のアラシ隊員に憑依し、その脳髄を借りて日本語でハヤタと対話を行った。第16話「科特隊宇宙へ」では撃退されたバルタンの生き残り、バルタン星人二代目が復讐を宣言。
金星探査ロケットの「おおとり」に自ら乗り込んで宇宙に飛び出した毛利博士に接触してその体を乗っ取っており、初期のバルタン星人は主に憑依型が目立つ印象だ。
前述の『帰ってきたウルトラマン』にもバルタンは登場しているが、この頃には人間の頭脳を媒介にしたり、テレパシーを用いなくても日本語で普通に喋っている。しかもたとえ話として野球のルールも用いているので、語学に対しては能動的に学ぶ姿勢があったようだ。
大きく潮目が変わったのは1980年放送の『ウルトラマン80』。第37話「怖れていたバルタン星人の動物園作戦」において、森田政夫という地球人の少年に化けて80に接触を図る。この少年に化身をしてウルトラマン80をつけ狙うという姿勢は、バルタン星人が五代目にしてはじめて見せた擬態型宇宙人としての特色だ。
ただ、劇中には本物の政夫少年も登場しているので、本当に擬態しただけなのかは判然としないが、この頃のバルタンは”もう何でもあり”状態なので、多分変身できちゃったんだろう。(元々宇宙忍者だし)
ウルトラマンも色々いるが、バルタンもまた長い時間を経て多様化していったのだと考えることができる。
ちなみに2022年に公開された『シン・ウルトラマン』は66年版『ウルトラマン』にかなり影響を受けた作品だが、オリジナルが憑依型であったのに対し、こちらのウルトラマン。個体名リピアは擬態型という違いがある。
憑依しようにも、自分が地球に降り立ってネロンガと戦った際に巻き添えで主人公の神永新二を死なせてしまっており、一心同体で命の共有をするのが間に合わなかった様子。その遺体はリピアが丁重に保存しており、そっくりの姿に擬態をして、地球防衛の任に就く。
双方の作品は非常に内容も似通っているが、細かい部分はかなり異なっており、見比べて楽しむのもオススメだ。
ともあれまずは7月5日の『ウルトラマンオメガ』の初オンエアが控える。何故擬態型ウルトラマンが地球に落ちてきたのか。その理由を想像しながら新しいウルトラマンを応援するのも、きっと面白いだろう。
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(C)円谷プロ/(C)ウルトラマンオメガ製作委員会・テレビ東京