よぎる“赤いアイツ”…新番組『ウルトラマンオメガ』放送前にふり返る深紅の戦士たち【解説】


よぎる“赤いアイツ”…新番組『ウルトラマンオメガ』放送前にふり返る深紅の戦士たち【解説】

ウルトラシリーズの最新作が7月5日(土)朝9時というお馴染みの時間帯からテレビ東京系にて放送開始となる。番組名は『ウルトラマンオメガ』。今回もYouTubeにて翻訳された字幕版も同時期配信されるため、日本以外の国に住むファンも楽しみにしているに違いない。

ウルトラマンというキャラクターは数えきれないほどデザインにバリエーションがある。最近はカラーリングも豪華な者がいれば、棘だらけのイカツい造形をした者もいて千差万別。

もちろん、一番シンプルで美しく、カッコいいのは初代ウルトラマンで間違いないが、どのウルトラ戦士もそれぞれに違った魅力を有している。

そして今作の主人公、ウルトラマンオメガもまた、大勢いるキャラクターの中に埋没しないような、強い個性を発している。

顔が、赤いのだ。

深紅のマスクを被ったような顔をした新しいウルトラマン。思わず彼らを思い出す…

『ウルトラマンオメガ』の主人公デザインについては、既に円谷プロの公式サイトや各リリースでも発表されている。そして今年のウルトラマンに関しては、思わず二度見するような個性がある。

赤い覆面を被ったような顔をしていてトサカもまた赤い。ウルトラ戦士数あれど、赤い顔をしたウルトラマンというのは、実はまだそんなに多くない。

この系譜で、筆者が知る限りで一番古いのがゼアスだ。1996年に『ウルトラマンゼアス』というタイトルで劇場公開された単品映画作品の主役であるゼアスは当初、病的なまでの潔癖症。

およそウルトラマンとも思えない適正の低さに頭を抱えるような描写が続くが、徐々に戦士としての自覚を持って強敵ベンゼン星人(演:鹿賀丈史)を打ち倒すストーリーは評価が高い。

キャストも豪華でベンゼン星人の妻(演:神田うの)が立ちはだかる続編も作られるなど、90年代を代表するウルトラ戦士である。

もう1人思い当たるのが2020年に放送された『ウルトラマンZ』において、主役のZがタイプチェンジすることで登場するベータスマッシュ形態。

こちらはあくまでも変身バリエーションの一つという立ち位置ではあるものの、やはり赤い覆面を被ったような顔をしていたので斬新なデザインに感じられた。

元祖・赤いマスクの戦士ことレッドマン

顔が赤いウルトラマンというのは全ウルトラ戦士を俯瞰した場合でも極めて少ない。

それだけウルトラマンオメガは新鮮なキャラクターということになるが、円谷プロはゼアス以前に赤いマスクをつけたヒーローを創出していることはオタクにとっては常識だろうか――『レッドマン』である。

『レッドマン』は1972年に放送されていた日本テレビ系・朝の子供番組『おはよう!こどもショー』のワンコーナーとして存在していたミニコーナー。なにせ番組の中の1コンテンツなので尺も短く、ドラマパートは存在しない。

レッドマンはその名の通り全身が赤く、頭部は上半分を赤いマスクで覆ったようなデザイン。耳から伸びる一対のアンテナも印象的な戦士だ。

最大の特徴は、怪獣に対して非常に攻撃的で、容赦がないという性質。素手でも強いが刃物や槍を持たせると特に攻撃性が増す。怪獣をズタボロに痛めつけ、事切れた後は槍を刺して本当に死んだか確かめたり、死骸をわざわざ崖下に投げ捨てるなどの所業が有名だ。

いざとなれば分身することも可能で、複数の怪獣を相手にしても絶対に負けることがない。

戦意喪失して撤退する怪獣を後ろからでも攻撃し続ける意志の強さも見せ、本編でレッドマンから逃げ延びることができた怪獣はたった1匹だけしかいなかった。

竹藪で遊んでるだけの怪獣に対しても見かけ次第襲い掛かる上、本編では会話らしい会話もしないことから、得体の知れない存在として恐れている人も昔から多い。

一方、レッドマン自体は一部ファンからカルト的な支持を受けており、円谷プロもそこまで精力的に関連商品を発売してはいないのだが、たまに登場するフィギュアやグッズは愛好家にかなり喜ばれてもいる。

何はともあれ、このレッドマンこそが円谷ヒーローの中にごく稀に登場する、赤いマスクの戦士の元祖と言えるだろう。

ウルトラマンオメガがどのような戦い方をするのかはまだ未知数だが、レッドマンに負けず劣らずの印象的なファイトを展開してくれることに今から期待したい!

■『ウルトラマンオメガ』 作品情報
放送時間:日本時間 毎週土曜日 午前9:00~9:30
国内放送局:テレ東系列6局ネット 他
国内配信サイト:TVer・ネットもテレ東・TSUBURAYA IMAGINATION・YouTubeウルトラマン公式チャンネル 他
出演:近藤頌利 ほか
メイン監督:武居正能/シリーズ構成:根元歳三・足木淳一郎
製作:円谷プロダクション・テレビ東京・電通

©円谷プロ ©ウルトラマンオメガ製作委員会・テレビ東京

著者 松本ミゾレ