【現地】中国のアニメイベントに計40万人が集結、アジア最大級に 国内産業にも影響


【現地】中国のアニメイベントに計40万人が集結、アジア最大級に 国内産業にも影響

7月11日から13日まで3日間、上海の中国国家会展中心でACGN(アニメ、漫画、ゲーム、ノベル)総合展示会「BilibiliWorld 2025」が開催され、来場者は3日間で40万人を記録した。主催によると、前年比60%増の大幅な規模拡大により「アジア最大級のイベントとなった」と話し、企業主体のイベントとしては日本のアニメジャパンや東京ゲームショウにも並ぶ開催規模となった。

BilibiliWorldとは中国の動画共有サイト大手のビリビリ動画が2017年から主催する大型展示イベント。今年は展示面積24万平方メートルの会場にのべ700社の業界関連企業が出展した。会場チケットは事前登録時点で90万人となっており、第1弾が35秒、第2弾が6秒でそれぞれ完売。当初は30万人を見込んでいたが、当日参加などで積み増した。

出展社はアニメ作品の製作会社からグッズメーカー、ゲームパブリッシャー、そして電化製品、公安などさまざまで、日本企業からは「バンダイナムコ」「ソニー(PlayStation、アニプレックス)」「ブシロード」「セガ」「アニメイト」などが参加した。

また、動画サイト主催のイベントであるため、動画投稿者や視聴者との交流も多く図られており、会場では800台の「痛車」の展示や、同サイトで活動するVTuberとの交流会、「ラブライブ!」等人気アニソンのダンス企画などさまざまな催しが行われた。会場を見渡すと、コスプレを行う来場者が際立って多く、3割程度が思い思いのコスプレを楽しんでいた。

企業のほかにも1000名を超えるインフルエンサーやアーティストも参加。日本からはコジマプロダクションの小島秀夫監督を筆頭に、多くの人気声優やユニットが関連イベントに出演した。

国内で拡大する2次元消費、世界からも注目

主催側は今回、イベントの規模拡大により「BW開催は上海の観光・消費産業にも大きな波及効果をもたらした」とも話し、手応えを感じていた。旅行会社のデータによると、イベント期間中、数十万人のZ世代が上海に集まり、上海行きの航空券注文は50%増加、会場付近のホテル予約は昨年の約5倍に増加したという。

加えて、今年は前年に増して「国際化」が顕著な特徴だったといい、全来場者に占める外国人の割合は過去最高の13%に達した。日本や韓国といった近隣諸国に加え、ロシア、ブラジル、サウジアラビア、エジプトなど幅広い国々からファンが来場したという。この数値は日本で3月に開催されたアニメジャパンに匹敵する数値となり、イベント開催における注目度の高まりが示されている。

近年の中国上海では2次元コンテンツの消費が急速に発展している。市内を代表する繁華街・南京東路にはアニメ・ゲーム専門デパートが開業しており、BW期間中には累計24万人が訪れ、同エリア内で最も多くの人が集まっていた。

Yoshioka

著者 Yoshioka
オタク総研媒体統括 兼 株式会社オタクリエイト代表取締役。アニメ、テクノロジー(ガジェット)、コンテンツビジネス、システム開発などを取り扱っています。PRプランニングやIP調達、制作事業の統括も兼任。好きなものは新作アニメ、海外スマホ、東南アジア。