AI議事録サービスの運営上場企業、売上の最大9割が過大計上 第三者調査で多額の循環取引が発覚

ソフトウェアの開発販売を行うオルツ(東証グロース上場)は28日、循環取引による売上の過大計上の指摘を受けて、第三者委員会による調査報告書の公表版を開示した。
同社はAI技術を活用して音声から議事録を生成することができる「AI GIJIROKU」を展開しているが、同サービスに関する販売パートナーからの受注売上の大半について循環取引の疑惑が上がっていた。
調査報告の結果、広告宣伝費又は研究開発費の支払名目で資金を支出し、広告代理店を経由して一部の販売パートナーに対して支払い、最終的に当該販売パートナーから支払を受けることにより売上代金を回収していた事実が確認されたという。
循環取引により、2020年12月期から2024年12月期までの期間において、売上高で累計約119億円、広告宣伝費で約116億円、研究開発費で約13億円がそれぞれ過大計上されていたと指摘された。今回の報告によると2024年12月期における売上高への影響額は約50億円で、同期の連結売上高約61億円の82.3%を占めていることがわかった。
また、広告宣伝費への影響額は約44億円で同期の広告宣伝費約46億円の96.3%、研究開発費への影響額は約8億円で同期の研究開発費約14億円の60.9%に相当する。
同社は第三者委員会の調査結果を踏まえ、過年度の有価証券報告書、内部統制報告書の訂正報告書の提出や、決算短信、四半期決算短信の訂正作業に着手するとした。また、再発防止策については、第三者委員会の提言に沿って具体的な策定を進め、策定次第改めて公表する予定。
また、経営責任に関しては28日に代表取締役の解任を決定した。独立した利害関係のない立場にある社外弁護士とともに検討を開始しており、責任追及訴訟を提起すべきか否かについて判断していく方針も示している。