冬アニメ、最も注目を維持したのは『メダリスト』後半の“中だるみ回避”や口コミ拡散が貢献か 調査

ブシロードグループの代理店子会社によるアニメデータインサイトラボから、2025年冬アニメの注目度推移を分析したレポートが公開された。Googleトレンドの検索量データを基に、放送1~10週目における57作品の注目度を可視化し、視聴者の関心を集めた作品の傾向を明らかにしている。
注目度を最も維持したのは『メダリスト』回を重ねるごとに上昇
今回の分析の結果、『メダリスト』が最も注目度を維持した作品として挙げられた。1週目比で155.6%という数値を記録し、放送を重ねるごとに注目度が上昇した。同作は人気原作ということで、放送前から大きな注目を集めていたほか、SNS上では「泣ける」「感動した」といった感想が自発的に拡散され、視聴者間での口コミによってさらなる関心を呼ぶ好循環が生まれていたという。
また、放送直後から中盤にかけても「さっぽろ雪まつり」などでのイベント露出、米津玄師による主題歌のヒット、さらに主題歌では羽生結弦選手とのコラボMVなどプロモーションの機会が多く設けられ、作品周知にも貢献した。分析レポートでは「毎週の明確な『見どころ』提供」と「中盤以降での盛り上げ施策」が成功の鍵だったと指摘している。
ランキングではこの他『SAKAMOTO DAYS』も、2週目に221.6%のピークを記録し、10週目も116.2%と高水準を維持。いずれも「新作アニメが初動を超えて注目を集め続ける」という、稀有な成功例となった。
一方で、2025年冬クールの新作アニメ全体としては、2週目の注目度維持率が88.8%と高水準だったものの、10週目には33.5%まで減少。2024年の各クールと比較しても最も低い水準となり、視聴者の目がより厳しくなっている傾向が明らかとなった。初動は好調だった『悪役令嬢転生おじさん』も、放送が進むにつれて注目度が徐々に低下し、10週目には43.3%にまで減少した。
他方、続編アニメは比較的安定した注目を集めており、『100カノ』『俺だけレベルアップな件』『Dr.STONE』などが10週目でも高い維持率を記録。特に『100カノ』は後半から話題性が増し、視聴者数を伸ばしたという。
レポートでは、今期成功した作品に共通する要素として以下の点を指摘している。
“中だるみ回避”と“自発的盛り上がり”が成功の鍵に
- 毎週の明確な見どころ演出(例:『メダリスト』の感動演技、『SAKAMOTO DAYS』のアクション)
- SNS上での自発的な盛り上がり(例:「泣ける」と話題になった感想投稿)
- 中盤以降での「盛り上げ」施策(例:『俺だけレベルアップな件』第7話で主人公の旬が無謀にもS級ダンジョンに挑むエピソード)
- 継続的な宣伝(ジャンルの拡張、女性層の取り込み)
- 継続的なプロモーションとファンとの接点(例:『Ave Mujica』の広告連動施策)
これらの取り組みが視聴継続につながり、注目度の維持・上昇を可能にしたと分析されている。
ジャンルの多様化も顕著に
今期の成功作は、フィギュアスケート(『メダリスト』)、アクション(『SAKAMOTO DAYS』)、SF冒険(『俺だけレベルアップな件』)、ラブコメ(『100カノ』)と幅広いジャンルにわたり、視聴者のニーズも多様化。特に『100カノ』は「倫理観がバグっていて逆に面白い」といった視点から新たなファン層を開拓し、従来のハーレム系とは異なる文脈で支持を集めていたという。

前回秋クールの調査に続き、今回も初動での注目獲得に加え、中盤以降も視聴者を惹きつける工夫とSNS上での自発的な盛り上がりが、アニメ作品の成否を分ける重要な要素であることが示された。
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