「おじさん」「おっさん」マンガが急増 読者層は40代以上男性、支持される理由は

電子書籍ストア「ブックライブ」は、同ストアにおける利用データをもとに近年「おじさん」「おっさん」といったワードがタイトルに含まれるマンガ作品が増加傾向であるとの調査結果を公表した。
同ストアにて販売されている作品を対象に2019年と2024年を比較すると「おじさん」「おっさん」のワードを含むマンガ作品の第1巻発売数は約2.5倍に増加。2025年もすでに1月から4月の時点で29作品が出版されており、前年の42作品を上回るペースとなっている。
同ストア内での購入者数も同様に、2019年と2024年の比較で約2.5倍に増加しており、人気が継続的に拡大していることがうかがえる。
このジャンルのなかで最も読まれている作品として、男女ともに1位となったのは『片田舎のおっさん、剣聖になる~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~』。同作は「小説家になろう」連載のノベル作品が原作となっており、4月からTVアニメ化がテレビ朝日系列にて始まったばかり。公式発表によるシリーズ累計発行部数は700万部を突破している。

読者層については、購入者の上位3位が「男性・40代」「男性・30代」「男性・50代」となっており、主人公と同世代もしくはそれ以上の世代から支持を集めていることがわかった。また、男女別の比較では、1位から10位のうち7作品が共通してランクインしており、性別による好みの差が比較的少ないジャンルであることも示唆されている。
同ストアで年間2,000冊のマンガを読破する書店員・すず木氏は、人気の背景について「おじさんマンガに登場する「おじさん」は必ずしも「イケおじ」とは限らないところに注目です。冴えないおじさんが今までの人生で得てきた経験値や判断力などを駆使して活躍する物語が主人公と同世代、もしくは上の世代の読者の共感を得ているのかもしれません。」と言及。
また、「俺TSUEEE!系(チート能力で無双する作風)」的な展開ではなく、謙虚さ地味な努力を積み重ねた結果、周りに評価されるという部分も支持されるポイントだとしている。「おじさん故の切なさを盛り込んだ物語も多く、哀愁を感じられるためより親近感を感じます。 悲哀を感じさせるおじさんが逆境を乗り越え成長していく逆転劇は「おじさん」世代に希望と勇気を与えてくれます。」とコメントした。