スマホのソフト更新は10年間提供すべき―修理と中古販売大手が提携、メーカーに呼びかけ


スマホのソフト更新は10年間提供すべき―修理と中古販売大手が提携、メーカーに呼びかけ

整備済み中古(リファービッシュ)電子機器のマーケットプレイス大手Back Marketは、修理パーツや修理用ツールの提供で知られるiFixitとのパートナーシップ締結を発表。スマートフォンの平均使用年数を5年間へ引き上げること、メーカーに対して10年間のソフトウェアサポートを提供することなどを呼びかけるキャンペーンを行う方針を公表した。

両社は今回の提携を通じて、デバイスの短命化傾向への対抗姿勢を示し、3Rによる持続可能な利用の普及を目指す。具体的には、Back Market上でiFixitが提供する修理キットの販売などを行い、消費者が自らの手でデバイスを修理できる環境の整備を図る。

(ただし、日本市場においては、個人によるデバイスの分解や修理行為が適法と見なされない可能性があることから、修理キットの展開は現時点で予定されていない)

「ファストテック」とはスマートフォンやPCなどの電子機器が数年ごとに買い替えられる消費スタイルを指す。新製品の登場によって既存機種の価値が急速に失われることで、使用可能なデバイスが短期間で廃棄される傾向が強まっているとして、両者は電子廃棄物の急増や二酸化炭素排出の拡大を招いていると指摘。2023年には世界全体で約5,244万トンの電子廃棄物が発生し、2050年にはこの量が倍増する見込みと主張している。

両社はまた、メーカーによる部品やマニュアル、ソフトウェアアップデートの提供制限が修理の障壁となっている現状を問題視しメーカーに対しては「10年間のソフトウェア提供」を求めるグローバルキャンペーンを展開する方針を示した。

Back Marketの共同創業者兼CEOであるティボー・ユグ・ド・ラローズ氏は、「スマートフォンを5年間使うことは、例外のケースではなく“当たり前”であるべきです。Back Marketはソフトウェアの長期サポート、修理ツールへのアクセスのしやすさ、買取サービスというサイクルがしっかり確立できていれば、デジタルデバイスは10年経っても使い続けることができると確信しています。メーカーから通信キャリアまで、業界全体が『短命化するデバイスサイクル』を促すのではなく、『長くデバイスを利用できる技術』を支える方向へシフトすべきです」とコメントしている。

iFixitのCEOであるカイル・ウィーンズ氏も、「今のようなペースで電子機器を使い捨て続けることはできません。iFixitは設立から20年以上、誰でも自身のデバイスを修理できるように支援を続けてきました。今回Back Marketと提携し、新品ではなくリファービッシュ品を購入し、もし壊れたら修理して利用するという文化を一緒に広めていきます。そのためメーカーに対しては、10年間のソフトウェアとセキュリティアップデートの提供をするように呼びかけを行います。デジタルデバイスは、より長く使えるものであるべきです」と述べた。

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著者 編集部 IT/デジタル担当
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