醸造で“音楽を聴かせる”お酒?オンキヨーが「加振酒」の特許を取得、人気アニメともコラボ


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オーディオ機器ブランドで知られるオンキヨーは1月下旬、音楽振動を用いた酒類の製造方法「加振酒」に関する特許権を取得したと発表した。同月付で特許登録されたこの技術は、発酵過程における「もろみ」の状態に応じて最適な振動を与えることで、製品品質の安定化を図っている。

同社は1946年の創業以来培ってきたオーディオ技術のノウハウを活かし、2020年から「お酒の醸造や熟成のために音楽を聴かせる」取り組みを開始。東京農業大学・醸造科学科との産学連携による研究を通じて、音楽振動が酵母に与える影響について科学的な検証を進めていた。

具体的な製造過程では、醸造タンクに専用の加振器を設置し、クラシックやポップス、ロック、アニメソングなど様々なジャンルの楽曲を発酵中の酒に「聴かせる」。

同社はすでに多数の「加振酒」を応用した商品を展開しており、TVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』とのコラボ事例では楽曲加振熟成酒「おにころカップ酒」を昨年販売していた。これは日本盛の銘柄「鬼ころし」をベースに、加振楽曲「ワタシダケユウレイ 」を水中加振器にてじっくり聴かせ熟成させた「特別な日本酒」と銘打っていた。

この技術を応用したアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』とのコラボ商品。”Matured by Onkyo”の食品加振ライセンスロゴが付与されている
この技術を応用したアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』とのコラボ商品。”Matured by Onkyo”の食品加振ライセンスロゴが付与されている

「当社は、これまで、加振酒に関する発明について複数の特許出願を行っております。これらの複数の特許出願のうち、発酵過程における振動の与え方をもろみ等の状態に応じて変化させる発明について、特許権を取得致しました。この特許発明により、状態に応じた振動を与えることができるため、できあがった製品の品質のばらつきを抑制することができます」(公式発表による説明)

ちなみに現在のオンキヨー株式会社は主にアニメーション作品の版権元とコラボレーションしたグッズの企画・プロデュースを行っており、ONKYOブランドの音響機器の製造などは行っていない。ただし、法人向けには過去の音響技術を活かした「Sound by Onkyo」「Powered by Onkyo」ライセンスを展開しており、他社のオーディオデバイスの製造設計に関わっている。

※特許情報
発明の名称:システム、方法、製造方法、食品、及び、清酒
権利者:オンキヨー株式会社
出願日:2021年6月1日 出願番号:特願2021-091987
登録日:2025年1月15日 特許番号:特許第7620208号

著者 編集部 経済・社会担当
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