パズドラのガンホー、株主提言で“怠慢経営”の指摘 「13年間ヒット作ゼロ」厳しい論調で多額の役員報酬など是正求める
アクティビストファンドのストラテジックキャピタルは30日、ガンホー・オンライン・エンターテイメントに対し、現状の経営体制を批判する株主提案を行った。提案文書では「パズドラ以降13年間ヒット作ゼロ」「ゲーム開発が難しいからだけでは説明できない」と、同社の経営姿勢を厳しい論調で指摘。具体的な提言を株主総会を前に提出した。
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「経営トップの報酬水準は任天堂に匹敵」高い役員報酬を指摘
今回の提言の主な内容は同社の業績および株価が長期低迷を続けるなかで、経営陣への高額報酬や過剰な手元資金の是正を求めるというもので、特に同社森下社長の役員報酬に疑問符が打たれている。提案書によれば、「過去10年間で、時価総額と営業利益は大幅に下落した一方で、森下社長の報酬は1.2億円から3.4億円への大幅アップとなっています」と指摘。この報酬水準について「世界有数のゲーム会社である任天堂に肉薄し、カプコンやコナミより金額が少なかったことはありません」と問題視している。
また、資金運用についても「現在の現預金残高の水準は、今後10年以上ヒット作が出なくても全く問題ない、つまりパズドラ以降四半世紀にわたってヒット作を産み出せなくとも安泰でいられる水準」と指摘。1400億円に達する手元資金について「ガンホーに必要なのは、このまま沈み続けても大丈夫な手元資金ではなく、再び浮上するためのきっかけです」と現状の打開を訴えている。
そして、開発投資関係では「『パズドラ以外』ヒット作ゼロ」「2023/12期にパズドラ”以外”のタイトルから得た収益は100億円にも満たず、1,000億円超の資金を投資したリターンとして不十分なことは明らか」と提言で言葉を並べ、かなり厳しい評価を下した。
同社の直近の半期決算では「パズドラ」が国内累計6,200万ダウンロードを突破し前四半期比では増収となったが、指摘の通り漸減傾向。売上高は前年同期比20.7%減の536億5,500万円、営業利益は同28.5%減の122億700万円と減収減益だった。一方で、同社は子会社を通じて「Ragnarok」シリーズを展開。アジア圏での支持が顕著で、決して「ヒット作ゼロ」ではないものの、アクティビスト側の「ヒット作」の定義には当てはまらないようだ。
配当政策についても、直近より続く30円の配当金は「株主軽視」として、「株主還元ではなく、配当金の”節約”ではないか」と疑問を投げかけている。
こうした現状認識を受け、ストラテジックキャピタルは具体的な提案として、基本報酬の変更理由の開示、株価連動報酬の導入などを求めた。また、資本政策については178億円相当の配当実施や自己株式の消却を求めた。また、同社は非上場化についても言及しており、「パートナーシップを通じた非公開化が最善の選択肢」との見解を示している。