イギリス政府、ブラウザ市場は“AppleとGoogleによる寡占”と指摘 「市場がうまく機能していない」調査報告で懸念
英国の競争・市場庁(CMA)は22日、スマートフォンブラウザ市場の競争に関する調査結果を発表し、AppleとGoogleの市場支配的な状況に対して懸念を表明した。両社のエコシステムが英国の企業および消費者に不利益をもたらしていると指摘している。
この調査は、AppleとGoogleが携帯端末のOS、アプリストア、ウェブブラウザの領域で実質的な寡占状態にあるとして2021年の市場研究に始まったもの。今回の調査報告では、特にAppleブラウザ「Safari」の規制により、競合他社が新技術を応用できない状況にあると伝えている。
具体的には、iPhoneにおけるウェブページの高速読み込みなどの機能提供が阻害されていると指摘している。また、多くの英国の小規模アプリ開発者が、アプリストアを介さない「プログレッシブウェブアプリ」の活用を望んでいるにもかかわらず、iOS上では十分に機能しない実態も指摘。こちらは同社のビジネスモデルであるアプリストア内課金で不利であるため、進んでの解決は行われていないようだ。
ただ、Appleは今年3月、欧州連合(EU)が新たに施行を開始した「デジタル市場法 (DMA)」の準拠を目的に、iOSなどで第三者によるアプリストア開設を許可するなど、規制の門戸を開く動きをみせている。ブラウザにおいても同様で、「WebKit強制の撤廃」などの方針変更も話題となった。これまでChromium系「Blink」やFirefoxの「Gecko」といったサードパーティ製エンジンの搭載を許可していなかったが、今後はブラウザ提供元が独自で開発したレンダリングエンジンの搭載が可能になるなど、状況は改善している。
なお、報告書にはブラウザのほか、クラウドゲーミングに関しても言及。約17万5千人の英国ゲーマーが利用するなか、従来Appleがアプリストアでのクラウドゲーミングアプリの提供を全面的に禁止していた問題について調査してたが、その過程でAppleが方針を変更し、クラウドゲーミングアプリの掲載を認めたことから、特段の介入は不要と判断された。
CMSは、来年施行されるデジタル市場の競争関連法案を前に、競争が適切に機能するような是正や「消費者にとってより高速で安全なモバイルブラウザの選択肢が広がること」への期待を表明。CMSは12月13日まで本調査結果に対する意見を募集し、2025年3月に最終決定を行うとのこと。