海賊版ゲームを“発売前”に入手し配信…任天堂、米国の悪質配信者を提訴 計数百万ドルの損害賠償求める
任天堂が、自社ゲームタイトルの海賊版データを発売前に入手し、違法にライブサービスで配信したとして、アメリカの配信者を米国コロラド州で提訴していたことがわかった。著作権法違反を指摘し、累計数百万ドルの損害賠償を求めており話題になっている。
任天堂の米国子会社が提訴したのは配信サイトでEveryGameGuruとの名前で活動するJesse Keighin氏。公開された訴状によると、同氏は先日発売されたばかりの任天堂タイトル『マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ!』『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』など含む10タイトルを「発売前」に違法な経路でゲームデータ(ROM)を入手し、配信を行っていたとのこと。
さらに同氏は単に配信するだけでなく、視聴者に対して海賊版の入手方法やエミュレーターの使用方法を解説したり、URLを貼り付けたりしていたという。任天堂が提示した参考資料によれば、配信サムネイルに「EARLY RELEASE」「FIRST LOOK」などの装飾も施されていることが確認できた。
これらの行為は2022年ごろから行われていたとして、任天堂はその都度著作権法に基づく削除通知をYouTubeなど各プラットフォーマーに送い、チャンネルの閉鎖を実施していたことを説明。しかしKeighin氏は「千個もの使い捨てアカウントがある」とメールで挑発的な態度を示し、再三繰り返していたことで「発売前タイトルの違法配信は、正規のユーザーの期待や体験を著しく損なう」として、提訴に至ったとした。
海賊版の流布には毅然とした対応
任天堂はこれらの行為や開発に対して「ゲームプレイやネタバレを目にし、ゲームを体験したときの驚きや喜びを台無しにしてしまうかもしれない」との影響を指摘。「発売前の海賊行為は任天堂に多大な損害をもたらす」として、侵害1件当たり15万ドルなどを請求。50回以上の違法配信が確認されていることから、総額は数百万ドルにのぼるとみられる。
任天堂は近年、エミュレーターなどの正規以外でゲームをプレイできる環境は「海賊版を助長しかねない」として、警戒を強めている。今年にはSwitchエミュレーターの最大規模のプロジェクト「Yuzu」の開発元を提訴、巨額の賠償金支払いに応じた。その後、第二の規模だった「RyujinX」プロジェクトも開発を停止し、関連するプログラムを削除した。
これまでは主にエミュレーターの開発者に対する警告や提訴を行っていたが、今回は非常に悪質性の高い事案でもあることから利用者(配信者)に及んだこととなった。