過去の“クレカ規制”とは少し状況が違う?「マンガ図書館Z」サービス停止は決済代行会社が影響か


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無料の電子書籍配信サービス「マンガ図書館Z」を運営する株式会社Jコミックテラスは5日、同サービスの停止を発表した。決済サービスの契約解除に伴う経営環境の悪化が主な要因で、11月26日12時をもってサービスを停止とする。

マンガ図書館Zは、漫画家の赤松健氏が2010年に立ち上げた「Jコミ」を前身とし、絶版作品を中心に電子化されていないレアな作品を無料で配信。広告収益を作家に還元するビジネスモデルを14年にわたって展開しており、電子書籍サービスが一般的ではなかった当時、先駆的な存在として注目を集めた。

しかし、決済関係でのトラブルにより代行会社との契約が10月末を持って終了。運営会社は資金繰りの試算と検討を重ねたものの、作家への還元が困難になる状況での運営継続は信頼関係を損なうと判断し、サービス停止を決定した。非営利団体への移行やクラウドファンディングなどによる再始動の可能性も模索するとしている。

そんな驚きの発表にソーシャルメディアでは多数の意見が寄せられているなか、今回の問題はこれまで見られてきた「クレカ規制」とはやや状況が異なるとして話題になっている。

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代行会社からの「解約通告」で決済機能が遮断

近年、マンガやイラストといったクリエイターの創作作品が多く取引されるサービスにおいて、一部の決済手段が「取り扱い停止」となるケースが相次いでいる。直近一年間だけでもダウンロード販売の最大手「DLsite」「ニコニコ」などでその事案が発生、国内系ブランドであるJCB以外が使えなくなるという、厳しい状況も見られる。

今回の「マンガ図書館Z」の決定も同じく決済事業者が関連しているというが、赤松健氏の投稿や公式発表では「決済代行会社が『クレジットカード決済以外の決済手段も含む、決済サービス全体での解約』を通告してきた」と経緯を説明しており、直接的な原因は「決済代行会社」にあるようだ。

決済代行会社とは、加盟店(事業者)と決済事業者(クレジットカードブランド)との間で決済処理を行う事業者を指す。ネットや小売店での物品購入の際、通常はこの代行会社を通じて決済処理顔行われ、日本国内ではGMOイプシロンなどが大手どころとして挙げられる。

これらの代行会社はVISA、MasterCard等のクレジットカードから各種QR決済、非接触型決済まであらゆる決済手段に対応しており、加盟店にとってはなくてはならない存在となる。そのため、代行会社の解約通告は(提携先を変えない限り)一切の決済が不可能になることを意味し、サービス停止せざるを得ない状況になったものと見られる。

この対応について、発表では「カード会社の判断により覆すことができない状況」に陥った旨も説明されており、代行会社単独での判断との可能性は低く、外部の決済事業者からの勧告や圧力がかけられた可能性も想定される。一度にすべての決済手段が使えなくなるということで、「ブランド別で取引停止」よりも高リスクな事象であることから、関連サービスに不安を寄せる声も見受けられた。

決済事業者と表現規制を巡る問題では今年8月、前述のような取引停止事例が相次いでいることを受けて山田太郎 参議院議員が米国VISA本社に訪問、現地責任者に説明を求める直接交渉に乗り込んでいたことが注目されていた。当時の山田議員の報告によれば、担当からは「VISA本社は、特定の用語を含むコンテンツについて、取り扱ってはならないといった指示を出したことはない」といった内容を聴取できたとしており、責任の在り処が話題になっていた。

著者 編集部 経済・社会担当
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