松竹、無料放送局「BS松竹東急」で特損38億円計上の苦戦 CM収入が計画下振れ、週末は京アニ映画も放送


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松竹株式会社が今月中頃に発表した、2025年2月期の連結業績予想では、同社の当期純利益が当初予想35億円の黒字から5億8000万円の赤字へと大幅な下方修正を行った。主な要因は、関連会社であるBS松竹東急株式会社の業績不振にあという。

「BS松竹東急」とは、その名の通り松竹と東急が提携して起ち上げたBS放送局。開局は2022年3月と極めて新しく、BS260chでの全国無料放送を行っている。同局はスポーツ中継番組が多く放送されており、プロ野球をはじめサッカー、フットボール、ゴルフなどの中継や関連特別番組の企画も行っている。

このほど松竹が発表したところによると、そうしたスポーツ中継の視聴率や認知率は「順調に推移している」としているものの、放送コマーシャルなどの広告売上高の伸びが当初計画を下回っていると説明している。

これにより、放送局の運営会社を持分法適用関連会社として持つ松竹は個別決算において38億円の関係会社株式評価損を特別損失として計上する見込みとなった。また、連結決算においては、これに係る投資損失を営業外費用に計上する予定であるとしている。

関係会社株式評価損(個別)、持分法による投資損失(連結)の計上及び、通期業績予想(連結・個別)の修正に関するお知らせ
関係会社株式評価損(個別)、持分法による投資損失(連結)の計上及び、通期業績予想(連結・個別)の修正に関するお知らせ

一方、個別決算においては、映像関連事業における配給作品の公開スケジュール変更により売上高は減少するものの、不動産事業が好調に推移している。特に銀座2丁目松竹ビル・同ANNEXをはじめとする各物件の稼働率が当初予想を上回る見込みであることから、経常利益は6億円から9億5000万円へと上方修正された。

BS松竹東急は松竹が関わっていることからも歌舞伎など演劇や落語、バラエティといったジャンルも「傑作選」として放送している。また、松竹が近年力を入れているアニメ分野も多い…わけでもなく、新作はほとんど放送されておらず、あっても数作品の再放送にとどまっている。

しかし、10月7日(月)からは新番組として放送20年を迎える2004年スタートのテレビアニメシリーズ『魔法少女リリカルなのは』をBSで初めてレギュラーでのオンエアを開始。また、昨日10月24日(木)からは三夜連続で京都アニメーションの人気作品『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズ3部作を放送するなど、定期的に少量の展開を行っている。

劇場版『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』

■放送スケジュール
10月24日(木)夜8時『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 特別編集版』
10月25日(金)夜8時『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 – 永遠と自動手記人形 -』
10月26日(土)夜9時『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン

著者 編集部 経済・社会担当
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