なぜ表現規制反対派が立民から出馬?理由をくりした善行氏に聞いてみた


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7月10日投開票の参院選。今回は特に「表現の自由」を巡って各党・各候補者が様々なマニフェストを唱えている。本記事では話題となった「児ポと類する画像の単純所持の犯罪化」の請願に触れつつ、規制反対派の立憲民主党候補者・くりした善行氏に簡潔に聞いてみた。

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規制派による「請願」が話題に

先日、5ちゃんねるやTwitter上で国会に提出されたとある請願が話題になった。

話題になったのは「子供の性搾取被害悪化の現状に鑑み、国連勧告に沿った児童買春・児童ポルノ禁止法の第三次改正を求めることに関する請願」。
打越さく良氏や福島みずほ氏を始め、立憲民主党・無所属・公明党議員4名が紹介議員として挙がっている。

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/seigan/208/futaku/fu20800650020.htm

子供、又は主に子供のように見えるよう描かれた者が明白な性的行為を行っている画像及び描写、又は、性目的で子供の体の性的部位の描写を製造、流通、頒布、提供、販売、アクセス、閲覧及び所持することを犯罪化すること  参議院公式サイトから引用

上記請願を見る限り、上記請願には「描写」と記載されているためイラストにとどまらずSSや小説などの文章やASMRといった音声分野までの幅広いコンテンツが対象になる。請願が通過する可能性が少しでもある以上、コンテンツ産業における影響は受けるだろう。

【描写】(びょうしゃ)
感情や情景などを小説・絵画・音楽などにより写し表すこと。(ウィクショナリーより=CC-BY 3.0)

アニメやゲームなどをこよなく愛する、我々オタクと称される人からすると死活問題に直結する。「規制を許すと更に規制と連鎖する恐れがあるのではないか」という点において心配・批判する声が多く集まっていた。

これらの請願に関しては国連の条約審議などからの影響も強く受けており、こちらも大きく話題に上がっている。

「情報及びテロの防止に関する包括的な国際条約」を作成するためのアドホック委員会の議長によって作成された文書
https://www.unodc.org/documents/Cybercrime/AdHocCommittee/Second_session/Documents/CRP11.pdf

規制反対派の立候補者に聞いてみた

これまで紹介した請願然り、立憲民主党はしばしば「表現規制に賛成する意見が多い」という印象をもたれる。そんな立憲民主党から表現規制に反対する政策を持つ候補者が参院選に出馬したとして話題になった。

そこで、なぜ立民なのか?を中心に選挙戦で多忙な、参院選比例代表に立候補の「くりした善行」氏に3つの疑問に答えていただいた。(以下、原文を掲載)

■くりした善行
昨年まで東京都議会議員として表現の自由に関する活動を行い現在は立憲民主党所属。参院選では主に「表現規制の反対」「インボイス制度反対」「イベント産業支援」などを政策とする。第26回参議院議員通常選挙・比例代表に立民として出馬。
Q(記者). 本日、表現規制を巡り2月~4月に提出された「請願」が話題になりました。ツイートでも拝見しましたが改めて本件に関して”規制反対派”の立場でどのようにお考えでしょうか。
A(くりした氏). 創作物への表現規制に繋がる内容であり反対です。党内議論で「表現の自由」への配慮お願いできるようにしたいと思います。

なぜ立民で出馬するのか?

表現規制反対において、自民の印象が強く、ネット上では「立民から出馬する意味は無い」という声もあります。前述した請願然り、規制反対派とは言い難い立民から出馬する理由をお聞かせ下さい。

昨今、野党側から表現規制の元となる事案も出て来ることがあるため、これらを党内で食い止めることが表現の自由を守っていく上で大きな意義がある。

立憲民主党の全体の方針としては規制派の意見が主流だと思われます。当選した際、多数派の意見に飲み込まれずに政策を実践する具体的な方針は何かありますか?

「立憲民主党全体の方針が規制派」はあまり正確な表現だと思いませんが、規制の元となる提案が度々見受けられるのは確かです。
かつて規制の源流であった自民党の中で山田太郎さんが抑止力として働いているように、私も立憲民主党の中で方向性に影響を及ぼしていきたいと思っています。
そのためには、まず今回の参議院選挙全国比例というシステムの中で、組織団体の支持なしで異例の勝利を収めること。このことによって党内での発言権を得ることができます。是非ともそのための力をお貸しください。

候補者への投票の判断は「政党」だけで考えずに「候補者の政策」も念頭に入れて思慮する必要があるという声もインターネット上で見受けられる。7月10日投開票の選挙戦はいよいよ大詰めに突入。本記事を機会に是非「表現規制」という観点からも考えて頂きたい。

※本記事は第26回参議院議員通常選挙における特定政党及び候補者の支持・批判を目的とした記事ではありません
※質問・回答内容は原文を掲載しております