新作アニメ戦国時代、成功のカギは“語りたくなる”展開?放送途中から急激に伸びた作品から分析

ブシロードは11日、2025年春クールのアニメ作品を対象とした話題ランキングを発表した。SNSや配信再生数など多角的なデータを用いて全62作品を分析した結果、初動では話題にならなかった『えぶりでいホスト』が最終的に275%という大きな伸びを記録するなど、従来の初動重視とは大きく異なる成功パターンが明らかになった。
今回の分析は2025年春アニメ全62作品を対象に、放送1週目から10週目までの10週間にわたってGoogleトレンドによる検索量データとX投稿量データを追跡調査したもの。
新作52作品と続編10作品について「継続視聴による評価の変化」に焦点を当てて分析したところ、ミニアニメ『えぶりでいホスト』の推移がイレギュラーだったという。同作品の維持率は8週目まで47%程度で低迷していたが、第7話がSNSでバズったことを契機に9週目に突如169%まで急上昇し、10週目には275%まで到達した。
本作は5分尺アニメとしてYouTubeでも公開されており、一般作品よりも視聴するハードルが低かった。その特性が話題性のあるエピソードによるSNSでの拡散と相乗効果で伸ばしたと想定される。
この例について、調査元は新たな「転換点型」の動きと定義し、「特定エピソードのバズ→SNSでの話題拡散→検索行動の誘発→継続的関心の獲得」という明確な因果関係が確認されたと分析した。
『アポカリプスホテル』『前橋ウィッチーズ』も健闘
また、今期放送初期や途中から勢いが増す作品が存在した。たとえば『アポカリプスホテル』はX投稿量維持率187%、検索量維持率101%を記録し、初動からSNSでの話題性が検索を上回る傾向を示した。2週目以降も一貫してX投稿量維持率が検索量維持率を大幅に上回り、7週目には222%まで到達していた。
同じくオリジナルアニメの『前橋ウィッチーズ』はX投稿量維持率209%、検索量維持率103%を記録し、調査元は「SNS話題拡散で成功した代表例」と評した。2週目から10週目まで一貫してX投稿量維持率が検索量維持率を上回る推移を示し、8週目にはX投稿量維持率207%でピークに達した。
地域密着型の設定、諸問題に向き合うストーリー、親しみやすいキャラクターがSNSでの「実況」や二次創作を促進したとみられる。
そのほか『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』もX投稿量維持率139%、検索量維持率74%を記録。初期は検索による能動的な情報収集が主要だったが、7週目以降にSNS投稿量維持率が大幅増加し、中盤以降の展開で爆発的な話題性を獲得したという。
調査元はアニメ作品における話題性のカギとして「インパクトの強いシーン設計、SNSでの拡散を意識したキャラクター・世界観、視聴者が『語りたくなる』コンテンツの継続的な提供」を挙げた。
©PROJECT MBW