「とらのあな」で作品掲載停止、作家の報告か話題 決済会社の「児童性的虐待コンテンツに該当」削除要請が背景か
同人誌を中心に個人クリエイターの作品を多数取り扱う「とらのあな」において、委託販売作品の掲載停止が通知されたとする利用者の報告が注目を集めている。
添付された株式会社虎の穴からのメールには、「決済会社様より貴サークルの作品が児童性的虐待コンテンツ(CSAM)に該当するとの通知があり、販売停止と通販ページ削除の要請がございました」と記載。同社約款に基づき対応したとしている。
同人サークル「もものみプラス」の主宰であるクリエイター・もものみさんは29日、自身の作品販売を委託している「とらのあな」から通販ページの掲載が停止されたとする旨かXに投稿された。
背景はまたもや決済絡みか…コミケ前に警戒感強まる
同投稿には株式会社虎の穴から送付されたと見られるメールも添付。メール本文には対応の背景として「先日、決済会社様より貴サ一クルの下記作品が児童性的虐待コンテンツ(CSAM)に該当するとの通知があり、販売停止ならびに通販ペ一ジの削除の要請がございました」との記載がなされており、同社約款に基づいた処理で決済会社側の要請に応じた形となった。
この報告に対し、クリエイター界隈では決済事業者の「CSAM」判断に注目が集まっている。CSAM(Child Sexual Abuse Material)とは端的に言うと児童性的虐待のコンテンツの総称。グーグルなど多くは「露骨な性的行為に関与する未成年者を扱った写真、動画、コンピュータ生成による画像」と定義している。
該当作品は年齢制限付きのアダルトコンテンツとなっているが、アーカイブページなどを参照した限りでは記録物ではなく、イラストによる架空の創作物だった。そのため、この報告を見た一部ユーザーからは「CSAMには該当しないのでは」と決済事業者側の要請内容に疑問を呈したほか、とらのあな側が「要請内容の伝達ミス」の可能性も指摘するなど、さまざまな意見が飛び交っている。
なお、ここでの決済事業者とはVISAを筆頭とした国際系クレジットカードブランドを指しているとみられる。というのも、直近半年内よりユーザー作成コンテンツを取り扱うサービス群が相次いで「取引停止」対応になる事象が発生しており、ダウンロード販売の最大手「DLsite」や「ニコニコ(月額会費)」では国内系ブランドのJCB以外使えないという厳しい状況に立たされている。
また、とらのあなのような形態の類似サービスでは、成人向けコンテンツ販売サイト「FANZA同人」が6月中旬にVISAの取引停止を突如発表していた。時事的な話題が続いていたことに加え、これから「コミケ」などの大規模即売会が相次ぐタイミングだっただけに、他の個人クリエイターへの影響拡大を懸念する声も見られている。