カドカワ、サイバー攻撃で“秘密資料入手”主張する報道に「強く抗議」 役員も相次ぎ言及、是非に波紋広がる
KADOKAWAは22日、臨時のグループポータルサイトを通じて「一部報道について」との文書を公表。現在同社が復旧にあたっているグループ全体でのサイバー攻撃によるシステム障害について、一部報道に対する抗議を行った。
同文書では「一部報道機関が、当社グループへのランサムウェアを含むサイバー攻撃に関して犯人と名乗る人物のメッ セージを掲載しております」と報告したうえで、「犯罪者を利するような、かつ今後の社会全体へのサイバー攻撃を助長させかねない報道を行うメディアに対して強く抗議をするとともに、損害賠償を含めた法的措置の検討を進めてまいります」「なお、本記事について当社がコメントすることはございません」と抗議した。
なお、本発表でいう一部報道機関とは、ユーザベース社が運営する経済媒体「NewsPicks」であると見られ、同日22日に「【極秘文書】ハッカーが要求する「身代金」の全容」とする記事をサービスの有料会員向けに公開していた。
全編が有料コンテンツであるため詳細な説明はできないものの、これは「KADOKAWAの悪夢」と題したシリーズ企画の初回だといい、シリーズページでは「サイバー攻撃により、ニコニコ動画(運営ドワンゴ)などの主要サービスが停止しているKADOKAWA。その裏で進む、悪質なハッカーによる金銭要求と、流出データを人質にした強迫行為に関わる秘密資料を入手。その実情をレポートする。」と紹介されている。
深層に切り込む“全容”主張の報道、その是非にさまざまな意見
この記事が公開された土曜日、サービス内をはじめ各SNSでは「かなりの深部まで迫った内容」であることが注目を集め、これに言及する投稿が寄せられていた。また、同時にKADOKAWA関係者からはこの報道姿勢に非難する声も寄せられており、そのうち夏野剛 代表取締役CEOは前出の文書「一部報道について」の内容を自身のNewsPicksアカウントに投稿。
ま、かつて「ニコニコ」の指揮をとっていたことでも知られる、川上量生 取締役も「犯人と称するグループからの一方的な情報をスクープと称して喜んで記事にするnewspicksのやり方は、犯罪者の脅迫に加担する行動であり、メディアとしての良識を疑います」として強く非難した。
これら関係者による抗議が寄せられた一方、サービス内のコメント欄では報道自粛をはじめとする「報道規定」に触れる投稿が見られたほか、当該記事を担当した大酒丈典 副編集長が「報道協定の議論は関係ありません」と説明している。
また、その他SNSでは「公式が説明しない相当な理由がある」「サイバー攻撃を助長させかねない」としてNewsPicks側の姿勢を問う意見から、「(多額の身代金を支払ったという内容を踏まえ)報道すべきだと思ったのだろう」などと理解を示す意見まで、内容や姿勢の是非をめぐりさまざまな声が寄せられている。
同社は14日に本事案に関する「第2報」にて各事業への影響や対応について説明。より正確な調査結果や復旧状況については「知らせすべき新たな事実が判明しましたら、改めてご報告いたします」と伝えていた。