Adobe、懸念集まるコンテンツへのアクセス規定について釈明「AI学習には使わない」「自由に見るわけではない」
Adobeは6日、今年2月に行ったサービス内での利用規定の改定内容について懸念や批判が寄せられていることを受けて、公式ブログを通じて改定の意図や影響などを改めて説明した。
Adobeは写真加工のPhotoshop、イラスト作成のIllustrator、ビデオ編集のPremiere Proといったクリエイティブに特化した有料サービス「Creative Cloud」を提供しており、国内外で多数のユーザーを抱える。同社は2月17日付で同サービスにおける利用規定などを明記した「基本利用条件」の一部条項を改定。
同条項はAdobeがユーザーのコンテンツ(音声、画像、映像を含む)に対して、限定的な方法かつ法律が許容する範囲に限り「アクセスや表示、監視を行う」という内容であり、改定ではそのアクセス方法において「自動または手動」という文言が盛り込まれることとなった。この改定により、一部のユーザーからは「Adobe内部によるコンテンツの漏洩リスク」を懸念する意見が集まっていた。
規定内容では、サービスやソフトウェアの運用や改善、規約の適用や法律の遵守のために、限定的な条件下としているものの、先日にも端を発した海外ユーザーの投稿が7万いいねを超える拡散を契機に再び話題に。これを受けて、Adobe社内のコミュニケーションチームは「この更新により、いくつかの疑問が生じ、それに対する明確化を図る必要があると感じている」として釈明した。
「AI学習には使わない」念押し
まず、規定内容の改定について「ソフトウェアの運用や改善、および不正なコンテンツからの保護など、利用規約の施行と法律の遵守のみを目的」であるとした上で改めて「限定的」であることを強調。なお、一部ユーザーが指定した「NDA(秘密保持契約)環境下での利用問題」については特に記載はなされていなかった。
続けて「アプリケーションやサービスが使用する機能(例︰クラウド共有用にサムネイルやプレビューを作成する)の実行」「生成AIを用いた背景除去などのクラウド処理」「児童性的虐待コンテンツなどの違法コンテンツ、スパムやフィッシング行為等の検出」の3点以外で同社はコンテンツの取得を行わないと明言した。
また、一部ユーザーより懸念されている「コンテンツが生成AIの学習に用いられるのではないか」という懸念についても、「顧客のコンテンツをもとに生成AIモデルを訓練」と断言し、「Firefly(AIツール)のモデルは、Adobe Stockなどのライセンスを満たすコンテンツと、著作権が消滅したコンテンツを元に訓練されている」として、理解を求めていた。