Adobeの規約改定めぐり「利用者のコンテンツにアクセスされる可能性」時を経て再び物議
PhotoshopやIllustratorをはじめとしたコンテンツ制作ソフトウエアを提供する米・Adobeについて、本年2月に改定されていた「利用条件」の内容が国内外で再び物議を醸している。
Adobeは写真加工のPhotoshop、イラスト作成のIllustrator、ビデオ編集のPremiere Proなどのクリエイティブに特化した有料サービス「Creative Cloud」を提供していることで知られているが、同社は2月17日付でサービスにおける利用規定などを明記する「基本利用条件」の一部条項(2-2条)を改定した。
同条項はAdobeがユーザーのコンテンツに対して、限定的な方法かつ法律が許容する範囲に限り「アクセスや表示、監視を行う」という内容であり、改定ではそのアクセス方法において「自動または手動」という文言が盛り込まれることとなった。本条件におけるユーザーのコンテンツとは、サービス上で使用する「オーディオファイル、ビデオファイル、電子文書、画像」も含まれる。
この改定をめぐり、ユーザーからは「Adobeによりユーザーのコンテンツを閲覧される可能性がある」「秘密保持契約を締結した用途に利用できないのではないか」として話題に。先日にもこの指摘を行った海外ユーザーの投稿がX上で7万いいねを集め、日本国内でも議論されるほどにまで波紋を呼んでいる。
We are not accessing or reading Substance users’s projects in any way, shape or form nor are we planning to or have any means to do it in the first place. I fail to see the point of doing so and every serious company in the industry would drop us immediately if it was the case.
— Jérémie Noguer (@Gahadmor) June 6, 2024
社内からも「アクセスするつもりはない」懸念払拭促す
この件が大きな注目を集めることとなった理由の一つにNDA(秘密保持契約)への利用可能性が挙げられるが、この他には「Adobeが推進する生成AI機能への学習に使われるのでは」との懸念も影響しているとみられる。Adobeは昨年末より「Adobe Express」やPhotoshopを中心に、画像生成AIを活用した創作支援ツールの提供を開始しており、「便利」との意見が寄せられる一方、自身の制作物が機械学習モデルの学習データに使用されるのではないかと危惧する声もあがっていた。
これに加わる形での基本利用条件の改定だったことから、ユーザーの心配を助長させることにもつながっていた。一方、Adobeはコンテンツにアクセスする状況は「フィードバックまたはサポート要求に対応するため」「詐欺、セキュリティ上の問題、法的または技術的な問題を検出、防止、解決するため」等の限定した事象だと説明している。
また、この問題に再び端を発したさきほどの投稿にはAdobe社員が「私たちはいかなる形でも(投稿者)のプロジェクトにアクセスしたりしていませんし、そもそもそうするつもりも手段もありません(抄訳)」とリプライを残しており、内部からも懸念を払拭する動きが見られていた。