“声の権利”問題、人気声優・梶裕貴は「共存すべき」AI活用した音声合成ソフト発売 20周年に製品化決意


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『進撃の巨人』エレン・イェーガーをはじめ、多数のアニメ作品にてキャストを歴任する人気声優・梶裕貴について、活動20周年を記念したプロジェクトの一環として、自身の声を再現できる音声合成ソフトウエアの製品化が決定している。

これはテクノスピーチら関連会社による音声合成ソフトの開発プロジェクト「CeVIO AI」シリーズの主導で、4月11日より開始したクラウドファンディングの目標金額達成により『CeVIO AI 梵そよぎ ソングボイス』として発売が決定していた。

販売スケジュールとしては、一般発売に先行してクラウドファンディング応援者を対象に、5月29日から31日までの3日間限定で先行受注販売が行われるといい、パッケージも特別仕様に。また、最終日の5月31日には、21:00より公式YouTubeでラストスパート生配信が行われる予定で、HoneyWorks (Gom,ヤマコ)が音声ゲストとして参加するという。

製品化決定にあわせ、梶裕貴からの本人メッセージも公開に。AI技術の発展により生じている「声の権利」問題について深く考えたという梶は企画当時、悪用のリスクを懸念しソフトの開発のみの意向だったと明かしつつも、クラウドファンディングを通じて多くの支援と声援を受け、音声AIの明るい未来に貢献したいと感じ、製品化を決意したという。

本ソフトの使用用途としては、個人や同人サークルに限り、商用/非商用問わず幅広い用途での利用が許可される方針で検討されており、二次創作ガイドラインの策定などを通じて、健全な利用を推進するとしている。

■梶裕貴 製品化コメント

AI技術の発展と普及により、現在、無法地帯となってしまっている”声の権利”問題。
私自身、この問題について、日頃から頭を悩ませておりました。
そのため、悪用のリスクを懸念し、当初は『CeVIO Al 梵そよぎ ソングボイス』のみの開発に留める考えでした。
しかし、今回のクラウドファンディングを通して、本当に多くの方々からあたたかいご支援とご声援をいただき…

また同時に、本プロジェクトに対する大きな期待値を感じ、少しでも音声AIの明るい未来に貢献できるならと、この度、『CeVIO Al 梵そよぎ トークボイス』の販売を決意するに至りました。
今、あらためて、新しいエンターテインメントの可能性を確信しております。

声優業をしている中で──とりわけ朗読劇などに出演した際に、声や音、その限られた表現だからこその可能性を強く感じます。視覚を必要としない世界だからこその自由。たった一言で安心させることもできるし、逆にものすごく不安にもさせてしまう。“言霊”という言葉があるように、声にも、それだけ大きな力が宿っていると思うんです。そして、そんな声の表現に特化した能力を持つ人のことを“声優”と呼ぶのでしょう。だからこそ、私はその無限の可能性を今回の試みを通して、もっと突き詰めていきたいですし、文化や言葉の壁を越えて、世界中の人たちに伝えていけたらと考えているのです。

昨今、AIとの向き合い方について、しばしば議論されていますよね。クリアしていかなければならない問題も多々あると思います。それでも私は、AIと敵対するのではなく、共存すべきだと考えています。AIという技術自体に善悪はない。あくまで、それを使用する人間側のモラルにかかっている。
だからこそ、あえて私の声を持つ『梵そよぎ』を解禁することで、”正しい音声AIの在り方”を証明できるのではないかと考えたのです。

今回の決断が、あらゆるクリエイティビティの幅を広げ、新しいエンターテインメントの開拓に繋がることを祈っています。

■梶裕貴
1985年9月3日生まれ、東京都出身。2004年11月、ゲーム『帝国千戦記』で声優デビュー。2009年、第3回声優アワード新人男優賞受賞。2013年、2014年連続で声優アワード主演男優賞を受賞。アニメ、ゲーム、ナレーション、洋画吹き替え、舞台などで活躍。主な出演作品=「進撃の巨人」エレン・イェーガー役 「悪魔くん」悪魔くん / 埋れ木 一郎役「僕のヒーローアカデミア」轟 焦凍役 「ハイキュー!!」孤爪 研磨役、「七つの大罪」メリオダス役など。

著者 編集部 アニメ情報担当
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