iPhoneが“レジになる”新機能、クリエイターや同人界隈から「コミケで使いたい」期待の声


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アップルは16日、iPhone単独で決済処理を行うことができる新機能「iPhoneのタッチ決済(Tap to Pay on iPhone)」を発表した。

小売店においてクレジットカード等の非接触型決済を行う場合はレジやカードスキャナといった外部端末を自前で用意する必要があり、小規模事業者の中では初期費用やリース代金が導入負担となっていた。しかし、今回アップルが日本向けの展開を発表した「Tap to Pay on iPhone」では、iPhoneに搭載されたカード読み取り機能を活用することで、外部端末は一切不要に。「iPhone XS」以降の本体と最新のiOSの利用を条件に、単体で一連の支払い処理が行えるという。

この機能は2022年に北米地域で発表され、中華圏では台湾が、欧州圏ではイギリス、オランダ、フランスと国際展開が進められていた。なお、本発表により決済手段が新たに加わることになるが、実際に機能を利用するには別途、金融サービス各社が提供するアプリケーションを使用する必要がある。執筆時点ではGMOフィナンシャルゲート「stera tap」、リクルート「Airペイタッチ」、Square「Square POSレジ」の3アプリ。

なかでも「stera tap」アプリではこの発表と同日に提供に関する具体的な内容も発表しており、クレジットカード決済による決済手数料は2.70%で提供することも明かした。この取り組みについて、小規模事業者の間での利用拡大が見込まれるほか、SNS上ではイラストや楽曲などを制作するコンテンツクリエイターからも注目する声が複数見受けられた。

特に、コミックマーケットといった同人誌即売イベントでの活用に期待が寄せられている。理由としては、一回のイベント出展が1~2日程度と極めて短期間であること、そして売上額も多くが小規模であること、そして出展スペースが非常に限られることなどが挙げられていた。実機レジの稼働が不要になることで、今よりも手軽に、気軽に即売会での取引が可能になることに熱視線が注がれている。

ちなみに、即売イベントでの個人間利用に特化したサービスの提供事例は過去にピクシブ社が行っており、アプリ「Pixiv Pay」上でのQR決済を推進しようと試みたが、新型コロナウイルスの感染拡大によりイベント開催が激減した2020年に運営を終了していた。

市井

著者 市井
オタク総研 媒体統括。専門領域はアニメ、テクノロジー(ガジェット)、プログラミング、コンテンツビジネス