Switch後継機「25年3月にも発売」断定的な日経報道に疑問の声 “公式発表と誤認”招く内容、任天堂も注意念押し


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日本経済新聞(日経)は26日、任天堂から発売されている家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」の後継製品に関する特報として「2025年3月にも発売」とする記事を電子版にて公開し、その内容がSNSを中心に注目を集めている。

気になるのは解るが…現時点では未確定

「ニンテンドースイッチ後継機、2025年3月にも発売へ」と題した同記事は日経電子版の有料会員に向けて公開しており、当該製品について「2025年3月にも発売する。」と断定したかたちで、“日経スクープ”として報道されていた。無料公開分の200字目以降にも後継機に関する情報が紹介されているものの、現時点での任天堂株式会社からの正式発表は行われていない。

ニンテンドースイッチ後継機、2025年3月にも発売へ – 日本経済新聞 (nikkei.com)

この報道をめぐり、SNSでは後継機への期待の声が見られた一方で、正式発表が行われていない中で断定的な表現で報じた日経の姿勢に疑問を呈する意見も見受けられた。

今回の後継機についてはこれまでも“リーク”に類されるような投稿や記事が2023年より急激に増加している傾向にあり、後継機の発売時期については数多の予想が行われていた。当初の2023年頃は、後継機の発売が「2024年下半期」と主張する記事が目立っていたものの、本年に入ると「当初の予定からずれ込んでいる」「2025年第1四半期に予定している」と内容に変化が見られていた。

これを報じたVGCやEurogamerといった海外媒体は「ブラジル人ジャーナリストによる投稿とポッドキャスト」「出版関係者の発言」「複数の情報筋への取材」などを情報源として挙げており、いずれも公式への裏取りは行われていない現状にある。さらに、この動きはゲームサイトにとどまらず、大手経済紙であるブルームバーグも前記と同じ内容を“独自の情報源”から得たことを明かしていた。

こうした一連の報道は内容はともあれ、不確定な根拠に基づき「公式による発表ではない」と注記を付した上で行われていたものの、今回の日経報道では少なくとも無料エリア内は「2025年3月発売」と断定的に受け取れるものとなっており「公式による発表だと誤認しかねない」「混乱を生む可能性がある」として懸念を抱く声が見られた。

任天堂も注意を呼びかけ

同内容を報じた日経電子版の公式Xのポスト(投稿)には2,500を超える引用投稿が寄せられていたほか、同ポストには「コミュニティノート」と呼ばれる背景情報を追記する機能を用いて《2012年にも日経は任天堂の新ハードに関してミスリードを含む記事を公開しています》として注意喚起が行われるまでに大きく取り沙汰されている、

なお、任天堂は今月6日に実施した決算説明会内の質疑応答において、新ハードの開発について問われた際に「最近、インターネットを中心に、あたかも当社が公表した情報であるかのような記事や憶測が報道されることがあります。」「しかし、当社が公式に発表したものでない情報に関しては、お客様や投資家の皆様を惑わせることにもなりかねません。」と一部の報道に注意を促していたばかり(※)だった。

現行機(Nintendo Switch)の2017年発売から7年近い月日が経とうとするなかで、投入サイクルや新規タイトルのリリース状況を鑑みると「もうすぐ新しいハードが発売されるかもしれない」と期待を寄せたくなるのは理解できる。しかし、あくまで公式による発表は行われていないことから、不確定な情報を鵜呑みにしたり、無闇に拡散したりといった行為には十分注意を払いたいところだ。

※2月7日掲載「2024年3月期 第3四半期 決算説明会(オンライン) 質疑応答」より