Xに「記事」投稿機能が新登場 有料会員向けに順次提供開始、その狙いとは


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短文投稿SNSのX(旧Twitter)が新たに「記事投稿機能」の提供を同サービスの有料会員向けに開始したことが明らかとなった。

この機能は少なくとも今月15日より日本を含む全世界で提供を開始していることが確認されており、投稿は「X Premium」に加入している一部ユーザーを対象に試験的に実施。投稿はすべての利用者が閲覧することができる。

投稿が可能なユーザーはプロフィール欄に「記事」という新たな項目が用意されており、実際に投稿されている内容を見てみると「見出し」と「本文」からなる、通常の投稿(ポスト)とは異なるレイアウトで表示されている。また、本文には通常のテキストに加えて、任意の画像やリンクを貼り付ける事が可能となっており、ブログライクなより自由度の高いコンテンツの共有が実現している。

Xを巡っては2023年、実質的な運営権を保持していた実業家のイーロン・マスク氏による“改革”が大きな注目を集めており、同年には140字(日本語)の制限をなくした長文投稿機能や太字・斜字などのテキスト装飾機能、長時間の動画コンテンツの投稿など多数の新機能をX Premium加入者を対象に提供を開始していた。

「記事」タブのイメージ記(@@EvaFoxUより)

「クリエイターの囲い込み」がカギに

こうしたリッチコンテンツをサポートする昨今の動きにはX陣営による「コンテンツの外部流出を抑止する」狙いが大きく影響していると想定される。旧Twitterでは世界的な短文投稿SNSとして確固たる地位を築き、情報発信に多大な影響力を持っていたものの、肝心なコンテンツ本体はYouTubeやニュースサイト等の外部サイトに存在し、コンテンツの内容を把握するためには都度Twitterから離れる必要があった。

しかし、イーロン・マスク氏が以前より提唱している「娯楽から金融まで包括的に網羅するスーパーアプリを目指す」という構想を実現させるプロセスにおいて、外部サイトへの流出抑止は機会損失につながり、大きな課題であることが考えられる。

また、金融という側面においては、昨年よりX Premium加入者へ提供を開始した「収益還元プログラム」のさらなる拡充とクリエイターの“囲い込み”の強化が必然的に求められ、今回の記事機能の提供はこれらの狙いを実現する一つの手段、そして「note」等のクリエイタープラットフォームへの流出を防ぐ狙いがあると見られている。