AIの導入で3割の原画マンを解雇、一方残りの中堅以上は昇給=中国のゲーム会社、イラストAIにより人員が剰余
中国国内にて生成AIの導入によってクリエイティブ職が大きな変化の節目に直面していることを報告した記事が話題になっている。
話題となったのは中国のゲーム会社にて特殊効果ディレクターを務める 符盖亚 氏の投稿とそれを元にに公開された記事。符氏の話によると、自分の働いている会社において今年はじめから3月までの四半期だけで、同社に所属する約30%の原画マン(イラストレーター)を解雇したという報告がなされていた。
同社は広州に拠点を置き300人の従業員を擁するゲーム会社として主に外注の受託を行っている。今回解雇されたのは若手〜中堅の原画マンで、2年以上の経験があれば、3カ月〜6カ月分の給与を一括で補償することを条件にしているという。解雇の理由は、近年の情勢から「AIの導入で人員が過剰になった」ことであると符氏は述べている。
ここ1年間における、ジェネレーティブAI(生成AI)の発展は革命をもたらすほどの社会浸透を遂げ、それらの最も有名な例は「ChatGPT」だろう。しかし、生成AIにおいてテキスト生成と同じくらいホットな話題になっているのが「画像生成AI」。直近1年だけでもDALL・E、Stable Diffusion、NovelAI、Modjourneyと人々の目を疑うイラストをたった数秒で出力するサービスが大量に出現している。そして、そのAI群はすでに複数のゲーム会社でも実務に採用する動きが見られているそう。
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符氏の所属する会社でもその流れが見られ、昨年末にはAI開発会社の人員を招聘し原画マン立ち会いのもと協議を行い、今年初頭に同社は正式にAIを導入。非常に良い効果を得られたという。現在導入されているAIは、原画マンの約50%の予備作業を支援し、中堅の原画家のレベルまでのタスクをAIが担当することが可能になっているそうだ。そして、中堅以上の経験豊富な原画マンは効率が上がり結果的に昇給した。
符氏は続けて「解雇された人の中には、AI技術を学び始める人やゲーム業界から離れ、他の業界に転職する人などさまざま。自分の友人の一人も後者を選んでおり、当時解雇された後、彼はAIに対して非常に強い拒否感を持っていた。後の話を聞くと、彼は故郷に戻ってグラフィックデザインに従事していることがわかり、給与はが以前の3分の1になったらしい。」と話す。
その後、記事中では符氏へのインタビューが続いており、ゲーム業界関係者として今後ゲーム業界や原画業界を目指す人へのアドバイスが行われていた。AIの急速な発展と浸透は効率化に一役買っている一方で、多くの人々にとって難しい局面をもたらしているとして大きな関心を集めている。以上のことは中国における事例だが、日本国内においてもAIは実業務へ浸透しつつあり、特にイラストレーターといったクリエイティブ職においての活用については特に注視されたい。