近未来!穴の無い”画面埋め込み型インカメラ”使ってわかった魅力と欠点〈コラム〉


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ここ数年、海外のスマートフォンを中心に画面の下にカメラを埋め込む「アンダーディスプレイカメラ」が登場し始めた。そこで今回はUDCが実際に用いられているスマートフォン「REDMAGIC 8 Pro」を使ってみてわかった利点と欠点をご紹介する。

「アンダーディスプレイカメラ(以降「UDC」)」とは画面の下にカメラを隠すことで、フロントカメラが見えないスマートフォンを実現する技術。2020年に中国・ZTEが世界で初めてUDCを搭載したスマートフォン「Axon 20 5G」を投入して以降、XiaomiやSamsungといったスマホベンダーからディスプレイメーカーまで各社競う形で発表し、近年注目の新技術になっている。

中でもZTEはUDC技術の実装に関して意欲的で、世界初の商用化の翌年、2021年12月には後継機種「AXON 30 5G」が発売され、より高性能なアンダーディスプレイカメラが搭載されるように。そして、ZTE傘下のスマホブランド「Nubia」も例外ではなく、今回のゲーミングスマホ「REDMAGIC」シリーズにも実装され、さらに先日には新たな実装機種の投入が報じられていた。

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迫力ある映像体験が印象的

まずは早速使ってみて感じた利点から紹介、こちら端的に述べると「UDCを搭載した端末は画面占有率が高く、映像コンテンツやゲームを鑑賞・プレイする際に没入感が得られる」ことが第一に挙げられた。16:9が基本のYouTube視聴はもちろん、Amazon PrimeやNetflixで配信されている映画鑑賞、さらにはTikTok等のスマホ向け縦長動画を視聴する際にその魅力が最も発揮されていた。

動画視聴だけでなく、ゲームにおいても迫力ある体験ができた。一般的なスマートフォンとUDCを搭載した「REDMAGIC 8 Pro」のそれぞれでゲーム画面を開くと以下のような違いになり、やはりカメラの黒丸があるのとないのでは見え方の印象が変わったと感じた。これは「一般的なスマホめは本来見えるはずの部分が見えない」という点が影響しており、単純にベゼルの厚さの違いによる画面占有率の向上とは別ベクトルでの迫力の違いが感じ取れた。

また、その迫力の違いは横画面のゲームより縦画面のゲームのほうがより明確に感じ取れた。横画面の場合、パンチホールだとしても画面がスマホを持つ手に近づくため視認性の観点から特に邪魔だと感じないが、縦画面だとそれがないためだと思われる。(実際にウマ娘を見てみるとわかる)

ちなみに、隠れるとは言ってもカメラ自体は搭載されているため完璧にステルスなわけではなく、画面上部には薄っすらと丸い影が確認される。しかし、その隠れている完成度は筆者の予想以上で、ディスプレイを最大輝度にして且つ目立つ色にしないと認識できないほどだった。

ほかにも利点としては「通知領域が気持ち広い」と感じた。パンチホール式カメラが搭載されていると事実上、画面上部が二分割され右半分は通知アイコンが表示できないようになっている。しかし、UDCだとその制約はないため通知領域を効率よく活用したい方はおすすめだと感じた。

画質やカメラ性能が劣る点が課題

一方、欠点について考慮してみるとやはり「画面の中に埋め込む技術がまだ開発段階であるため、一般的なインカメラの性能の維持に難があることが気になった。

…と遠回りに申したが、端的に言うなら「インカメラが少し白っぽくフィルターがかかったような色味になる」ことが気になった。これは、UDCを搭載するためには薄いパネルや特殊なレンズを使う必要があることへの弊害であり、画質が通常のフロントカメラに比べて劣ることは直後より課題として指摘されている。

 

実際に使ってみてもやはりインカメラで撮影した写真は明らかに白味かかってフィルターに通したような仕上がりになっていた。上の写真は真っ黒の壁面に真っ黒の服を撮ったものだが、見てわかる通り白くなってしまっている。ただ、「REDMAGIC 8 Pro」においては生体認証は画面内指紋認証のみなので、インカメラを普段使わない方にとっては必要十分かもしれない。

UDC技術の向上により写真の質も次第に改善されていくと思われる。UDC搭載端末の普及に伴い、UDCの性能向上が期待されるところである。

▲ちなみにREDMAGIC 8 Proのアウトカメラは夜景性能を除けば完成度は高い

結論として、UDCは没入感ある新しい映像体験を提供する一方で、画質やカメラ性能に制限があることは否めないと使ってみて感じた。UDCを搭載した端末の普及により、UDCの技術は向上していくだろう。しかし、製造コストがかかる点や技術自体に改善の余地がある点から、iPhone Xの発売を契機に一気に普及したパンチホール式カメラと比べると普及には程遠いイメージだ。

画面の中に埋め込み且つほぼ目立たないという「新鮮さ」がいずれ「あたりまえ」になる未来もそう近くないかもしれない。いずれにせよ、折りたたみスマホの時と同じように「いらなくない?」「商用化の意味ない」といったイメージだけで技術価値を決めつけるのは無粋だ。是非実機でチェックしてほしい。

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市井

著者 市井
オタク総研 媒体統括。専門領域はアニメ、テクノロジー(ガジェット)、プログラミング、コンテンツビジネス