民放連が生成AI「Sora2」等の無許諾学習に抗議声明 加盟社のアニメに類似する映像確認
日本民間放送連盟(民放連)は26日、生成AIの開発や学習に関する声明を発表。開発者に対し、会員社コンテンツを無許諾で学習対象としない措置や、類似映像が生成されないための対策を講じるよう強く求めた。
経緯としては、OpenAI社が今年9月に提供を開始した動画生成AIサービス「Sora2」において、民放連の会員社が権利を保有するアニメ等のコンテンツと同一または酷似する映像が確認されていることを受けて今回の発表に至った。
民放連はSora2の開発・学習段階において会員社が権利を持つコンテンツを学習した結果であるとの見解を示した上で、権利者が存在するコンテンツに類似する映像を生成し、公開することを前提としたAIサービスの学習には享受目的が存在するため、権利者の事前の許諾が必要であると指摘。
無許諾での学習は著作権侵害のみならず、ブランド毀損や名誉毀損など民法上の不法行為にもつながり、違法アップロードされたコンテンツが学習に用いられた場合は問題がさらに深刻化すると警鐘を鳴らした。
こうした事態は会員社に加えて出演者、原作者、脚本家など数多くの関係者の利益を損ない、「日本のコンテンツ制作の文化とエコシステムを破壊しかねない」と指摘。開発者側が提示するオプトアウト方式での対応では権利侵害を防ぐことは不可能であると断じた。
また、地上波局なども加盟していることから報道・ニュース番組に類似したコンテンツについても言及されており、虚偽の災害映像や政治家のディープフェイク動画などが拡散すれば、「国民の不安を煽り、正常な判断を歪曲させ、放送事業者による公正な報道の価値を大きく毀損する」と危惧した。
協会側はすでに生成され流通している映像については削除に努め、特に開発者が運営するサイトからは即座に削除すること、著作権侵害に関する申し立てに対して真摯に対応することを要求している。