まるでアニメの世界―目の前に文字が現れる眼鏡デバイス「Even G2」が日本上陸へ CEOに訊く
Apple出身のCEOが率いるEven Realities社が開発したディスプレイ搭載スマートグラスの新機種「Even G2」について、本格的な日本展開が決定した。同社は19日に日本市場への本格参入を見据えた製品発表会を開催し、詳細を公表した。
同社はすでに「Even G1」と呼ばれるモデルを販売中。同機は一見すると洗練されたデザインのメガネだが、レンズの向こうには緑色の単色のテキスト情報が浮かび上がるというもので、SF味さえ感じる近未来感が魅力の一つとなっている。日本国内では本格的には販売されていないものの、海外公式サイトでの日本発送に対応しており、度々Xなどで話題になっている。
今回発表された「G2」はそんなG1から性能を向上させた改良モデルとなっている。視界上にスピーチ原稿を表示する「プロンプター」機能や会話をリアルタイムで「翻訳」する機能、マップと連携した「ナビゲーション」機能、そして生成AIに直接聞ける「アシスタント」機能などを搭載している。
また、G2から新たに登場した機能が「会話サポート」。これは現実世界の会話をリアルタイムでサポートする機能で、会話の流れに応じて生成AIがトピックを認識し、話をまとめたり、補足情報を提示してくれたりするというもの。各会話の後にはAIによる簡潔な要約が生成され、重要なポイントや約束事をメモしてくれるという。

また、前機種に引き続き、今回のG2も“あえて”機能を削いでいる点が特徴だ。多くのスマートデバイスが豊富な機能で存在感を示す中、G2はメガネを使う人に向けて、日常に溶け込むことを最優先に設計された。カメラや外部スピーカーをあえて搭載しないことで、軽量化とスタイリッシュさを担保すると同時に、プライバシーへの配慮を徹底している。
技術面では、同社独自の光学エンジン「Even HAO 2.0」を採用し、表示領域は前機種比でより大きくなった。またハードウェア面でも妥協はなく、チタンとマグネシウム合金を使用し重量はわずか36グラム。前モデルのG1と比較して30%の省スペース化も実現した。

そして、大きなアップデートとして、同時に発表されたスマートリング「Even R1」との連携も実装された。R1は一般的な健康管理のスマートリングに、G2を操作できる「リモコン」機能を付け加えたような製品になっており、リングを触るだけでタッチやスクロール、予定管理が可能になる。
価格はG2が99,800円、R1が41,800円で、今後JUN GINZAおよびJUN GINZAヒルトンプラザ名古屋店の2店舗で購入可能となる。
G1からの改善点、日本市場参入を語る――CEO インタビュー
今回、発表に先立ちEven RealitiesのCEOであるWill Wang氏への単独取材を実施。設計思想などは前回のインタビューで紹介したので、今回はG1からアップデートした点や日本市場戦略について話を聞いた(以下、回答は日本語による抄訳)。

――今回のアップデートについて、ハードウェアとソフトウェアの改善点は?
多くのアップデートはアプリ側のものです。翻訳機能は高速化し、テレプロンプトのようなスクリプト表示機能はさらに高速になり、スクリプトも大きく見えるようになっています。特に会話サポート機能はG1にはなかった新機能です。
ナビゲーション機能についても大きな進化があり、新たに「コンパス」を内蔵することで方角を測ることができ、より正確なナビゲーションやマッピングが可能になりました。
――音声認識の向上はハードウェアの改善も貢献しているのでしょうか。
マイクのクオリティが向上しました。G1では2つしかなかったマイクが、G2は4つになりました。4つのマイクを搭載することで、声の聞き取り性能が大幅に向上しています。
――要約やアシスタントに活用している大規模言語モデルの種類は?
現時点ではGemini 2.5など性能の高いAIモデルを使用しています。今後も常に最新バージョンのモデルを採用する方針です。
――AIを使用するということは、従量課金やサブスクリプションが必要になるのではないでしょうか。
必要ありません。高品質な製品を作り、適切にサポートできるので、サブスクリプションはユーザー様には求めません。
――ハードウェアの軽量化は注力しましたか。
30%スリムになり、2〜4グラムほど軽くなりました。2グラムと聞くと小さく感じるかもしれませんが、眼鏡に関しては2〜4グラム軽いというのは相当な違いです。機能を大幅に増やしながら4グラムも軽くしたのは大きな成果だと自負しています。
――バッテリーの持ちはいかがですか。
(防水性能については)IP67なので、水にも入れることができます。バッテリー性能は1回充電すれば2日間持ちます。容量は片方で約90mAh、両方で180〜200mAhとなっています。充電ケースがあれば7回チャージができるので、2週間は持ちます。
――今後、体験会などの展開は検討していますか?
ショッピングモールなど、もっと力を入れてプロモーションしたいと考えています。来年は日本が絶対に一番大きなマーケットになると思っているので、こういう場(メディア発表会)を設けました。
――すぐに購入することはできますか。
すでに公式サイトでは(米ドル表記ではあるものの)日本から予約注文を受けられるようになっています。小売店についても色々交渉しています。

