漫画、雑誌、領収書…紙の面倒な電子化を“楽できる”万能スキャナ「CZUR ET Max」を試す【レビュー】


漫画、雑誌、領収書…紙の面倒な電子化を“楽できる”万能スキャナ「CZUR ET Max」を試す【レビュー】

マンガや雑誌など書籍をスキャンして電子書籍化する「自炊」は、沢山本を持っている方や断捨離をしたい方にとっては大きな関心事。加えて近年は電子帳簿保存法の改正もあり、手元の紙資料をデジタル化(電子化)する需要は年々高まっています。

仕事を加速するハイエンドスキャナー「CZUR ET MAX」|マクアケ – アタラシイものや体験の応援購入サービス

しかし、電子化で一番厄介なのが「とにかく面倒」であること。スキャナーでは1枚ずつスキャンするのに時間がかかったり綺麗にスキャンできないことも多々あります。

効率化を図りたい方にとっては「裁断方式」である程度解決できるものの、大切な本をカッターできるには多くの手間と心理的なハードルがあります。そうしたなかで、スキャナ製品を多数展開するCZURが新たに高性能な卓上スキャナー「CZUR ET Max」の国内展開をクラウドファンディングを通じて発表。

先行販売での割引後価格でも「9万円」と高額なフラグシップ機ではありますが、果たしてスキャン作業の面倒さを解消してくれるのか検証します。

ET Maxの基本的な使い方は①本体を大きいテーブルに設置、②付属のスキャンマットを設置、③PCと本体をケーブル接続、④専用ソフトウェアを起動、⑤書類を配置して「スキャン」ボタンを押下するだけ。PCはWindows、Macいずれもサポートしています。

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スキャナ用マットも同梱
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マットのガイドに沿って設置する

簡単操作で使用できる本機ですが、今回は特に注目したいポイント5選として、機能を紹介します。

【ポイント①】独自の「湾曲補正」で非裁断・見開きスキャン

ET Maxの目玉機能が、独自の「湾曲補正技術」を使ったスキャン方式です。分厚い本や雑誌を裁断することなく、見開きのままスキャン台に置くだけで、AIがレーザーで本の曲面を認識し、見開き中央の歪みやページの湾曲を自動で「平面」に補正してくれます。

オレンジエリアのガイドに沿って湾曲面を配置する
オレンジエリアのガイドに沿って湾曲面を配置する

ページは見開き→単独ページに自動で分割して保存されます。実際に電子化してみたイメージは以下の通り。

注意:掲載画像は縦1200pxに縮小していますが元サイズは2593 × 3833です
注意:掲載画像は縦1200pxに縮小していますが元サイズは2593 × 3833です

もちろん裁断方式ほどの完璧さは難しいですが「現状維持のままきれいに電子化したい」という要件を加味すれば、許容範囲のクオリティになっている印象です。

また、数百ページにも及ぶ分厚い書籍だと「溝が深くなる」問題も起こりますが、そのときに役立つのが付属の指サック。スキャン時には付属の専用指サックでページの両端を押さえることができます。余白部を持ちしっかり引っ張っておくと指サック部をAIが自動で検出され、撮影後にキレイに削除してくれます。

自動でページ分割
自動でページ分割

大切な蔵書や、お気に入りの雑誌も、捨てたり傷つけたりすることなくデジタルデータとして保存できる、「自炊」のための配慮が見受けられます。

【ポイント②】公称「300ページ10分」のページめくり自動スキャン

書籍や漫画、資料など、ページ数が多い原稿のスキャンは、いかに「1ページあたり素早く行えるか」が肝心。ET Maxは、スキャン台の上でページがめくられる動作をセンサーが自動で検知し、めくり終わったタイミングに「自動で」次のスキャンを実行する機能を搭載しています。

スキャナ上部にはディスプレイも用意されているので都度確認しながら利用可能
スキャナ上部にはディスプレイも用意されているので都度確認しながら利用可能

1ページあたりのスキャン時間は(もちろん素早くやる必要はありますが)わずか1秒。PCの画面を見たり、マウスをクリックしたりする必要は一切なく、ページをめくり続けるだけ。

公式によれば「300ページの書籍もわずか10分でデータ化」と紹介されていますが、実際にやってみた感じだと30ページ(=15回めくる)が1分ほど。慣れればもっと高速に処理できると思うので、長く使うことで真価が発揮できると感じました。

【ポイント③】細かいレシートや名刺も“一度にまとめて”

スキャンの用途は「自炊」だけじゃありません。特にレシートや領収書、名刺、写真の整理は“面倒”な作業の代表格でしょう。これらは基本的には一枚一枚スキャンする必要がありますが、ET Maxはこれらの細かい紙を「まとめて」バラバラと配置してスキャンできます。

バラバラにおいても全て個別ファイルとして保存される
バラバラにおいても全て個別ファイルとして保存される

A3という広いスキャン範囲内に、自由に書類を配置すると、スキャン後、それぞれの原稿を個別のアイテムとして自動で認識し、一つひとつのファイルに分割して保存してくれます。

テキストの向きを検知して自動でまっすぐに補正してくれる機能も備わっているため、向きも揃える必要がないのは非常に効率的のように感じました。

平面が暗くて光量が不足している場合、外付けライトでより明るくできる
平面が暗くて光量が不足している場合、外付けライトでより明るくできる

なお、スキャンの際のカラーモードは「自動補正」「グレースケール」「白黒」が基本的に使用できます。写真は自動補正、領収書などは白黒(2値化)を使うとキレイに電子化することができます。

実際に小さい文書をスキャンしたイメージ。2値化でよりはっきり電子化できる
実際に小さい文書をスキャンしたイメージ。2値化でよりはっきり電子化できる

【ポイント④】大判・結合スキャン:最大A2サイズまで対応

通常のスキャン範囲はA3サイズまでですが、それより大きなポスターにも対応しています。「両面結合機能」を使えば、原稿の半分ずつを個別にスキャンし、ソフトウェア上で自動的に1枚の画像に結合でき、最大「A2」サイズまで対応しています。

水平統合か垂直統合化を選べる
水平統合か垂直統合化を選べる

家庭用スキャナーを超えるサイズに対応できるのも、オーバーヘッド型ならではの強みで、エンタメ・アニメ雑誌によくある「ピンナップポスター」もキレイに電子化してくれます。

【ポイント⑤】手動トリガー:フットペダルで両手を自由に

自動スキャンは便利ですが、自分のペースで確実に1枚ずつスキャンしたい場合もあります。ET Maxには、スキャン実行のトリガーとして、PCからの操作のほかに2つの専用デバイスが付属します。

ひとつは手元の「ハンドボタン」。もうひとつは足元の「フットペダル」です。特にフットペダルは秀逸で、両手を原稿の扱いに集中させたまま、足でスキャンを実行できます。これにより、本を押さえながら…次の原稿を用意しながら…といった具合に、流れるような作業が可能になります。

床において踏むだけで撮影指示ができる
床において踏むだけで撮影指示ができる

【ポイント⑥】後編集からOCRまで付属アプリ“だけ”で完結

スキャン機能自体だけでも十分に強力ですが、スキャン後に行う後補正も充実しており「クロップ」「色補正」「回転」「重複画像検出」「空ページ検出」「手書き文字除去」「リネーム」「透かし追加」などをすべてアプリ内で完結してくれます。

領収書をWordファイルに変換したイメージ。正直Macの「プレビュー」アプリのOCRのほうが精度は高い
領収書をWordファイルに変換したイメージ。

また、OCR(光学文字認識)機能も搭載しているため、スキャンした画像からテキストを抽出することができます。

エクスポートはWord、Excel、検索可能なPDF形式に対応。日本語の認識精度も高く、近年流行の「AIに読み込ませる」ためのデータ準備としても有効的でしょう。ただし、OCRは日本語の縦書きが弱い印象で、アップデート等に期待されます。

このほか、HDMIケーブルでモニターやプロジェクターに接続すれば、4K画質の「書画カメラ」としても使用可能。Web会議で手元の資料を鮮明に映しながら説明するなど、ビジネスや教育の現場でも活躍します。

正確性を期すならMacの「プレビュー」アプリのOCRがよりおすすめ
正確性を期すならMacの「プレビュー」アプリのOCRがよりおすすめ

万能な一方で改善点も…

高機能でほぼ万能に見えるET Maxですが、使ってみて気になった点も。特に接続方式は「USB接続のみ」というのは少し不便に感じました。Wi-FiやBluetoothといったワイヤレス接続に対応していれば、設置場所の自由度が格段に上がり、さらに便利だったと感じます。

さらに言えば、付属するケーブルはUSB-B to Aタイプと取り回しは悪め。アプリ自体はMacにも対応していますが、MacBookなどに搭載されているUSB Type-Cポートには直接接続できません。

一応販売されているMakuakeには「USB-Type C変換アダプタ」が販売されているものの、本体価格を加味すると、Type-Cケーブルも同梱されていると尚良かったでしょう。

※実を言うと100円ショップにある変換アダプタでも使えました(小声)
※実を言うと100円ショップにある変換アダプタでも使えました(小声)

自炊と書類整理の「タイパ」が爆上がり

接続性に関して少し惜しい点はあるものの、それ以外の点はフラグシップモデル無だけに文句無し。それを補って余りあるスキャン性能と効率化機能を備えています。

仕事で扱う大量の紙資料や領収書をスピーディーに電子化したい方にとって、タイパ(タイムパフォーマンス)は劇的に向上するのではないのでしょうか。

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特に「自炊」は原則自分でスキャンする必要がある(代行業者に頼むと著作権侵害になる可能性もあるため)ので、より一層「面倒くさくないか」が重要。本機はそうした用途に特に向いていると感じました。

クラウドファンディングサイトのMakuakeの先行販売では、一般販売予定価格よりも38%OFFの92,410円で販売されているとのことで、興味がある方はチェックしてみてください。

Yoshioka

著者 Yoshioka
媒体統括 兼 株式会社オタクリエイト代表取締役。領域はアニメ、テクノロジー、コンテンツビジネス、Webシステム開発など。PRプランニングやIP調達も担当。好物は新作アニメ(きらら、百合なら特に)、海外スマホ、アジア旅など。

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