夏アニメ屈指の“大穴”作品、数値分析で驚異的な記録が判明…『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』は成長率3000%超


夏アニメ屈指の“大穴”作品、数値分析で驚異的な記録が判明…『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』は成長率3000%超
©亀山陽平/タイタン工業

株式会社ブシロードのアニメデータインサイトラボは、2025年夏クールに放送されたアニメ全81作品を対象としたトレンド分析レポートを公開した。Google検索量を示す「トレンドスコア」とXの投稿量を示す「ファンスコア」を基に注目度の推移を検証した結果、クール終盤にかけて驚異的な成長を見せた作品の存在が明らかになった。

今回の分析では、期間中の平均的な話題量を示す「期間平均」、最も話題になった週の「最大値」、放送初回から最終週への「成長率」、そしてファンの熱量を示す「熱量指数」の4つの指標で評価が行われた。

YouTubeでの全話公開が有効的?終盤にかけて急上昇

分析の結果、特に注目すべき動きを見せた作品として『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』を挙げた。同作は、放送第1週から最終週にかけての成長率において、トレンドスコアで2000%、ファンスコアで3135%という極めて高い数値を記録し、両指標で全作品中の1位となった。

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トレンドスコア成長率(最終週/初週)

放送序盤はトレンドスコアランク外という低水準で推移したものの、第8週を境にスコアが急上昇し、最終週に話題量のピークを迎える、いわゆる“大穴”のような「転換点型・後半伸び型」のパターンを示した。

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トレンドスコア平均値(左)と最大値(右)

この成長パターンは、2025年春アニメの『えぶりでいほすと』と酷似しており、両作品に共通する「YouTubeでの全話公開」と「ショートアニメ」という要素が、クール中盤以降の口コミ拡散を加速させた可能性があると分析されている。

ファン主導で盛り上がる作品も

一方で、『タコピーの原罪(トレンドスコア期間平均1位)』や『光が死んだ夏』のように、放送初期に高い注目を集め、それを維持する「爆発初速・維持型」の作品も確認された。また、『ダンダダン』『怪獣8号』『SAKAMOTO DAYS』は最大値の記録週が第7週以降と後半に集中し、長期間にわたって安定した注目を集めた。

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ファンスコア平均値(左)と最大値(右)

このほか、『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』は、クール中盤から着実にスコアを伸ばす「中規模・着実成長型」として、覇権級の成長パターンを示した。

さらに、一般的な認知度を示すトレンドスコアは低いものの、ファン活動が活発な作品を可視化する「熱量指数」では、『New PANTY & STOCKING』が1位を記録。こうした作品は、マスマーケティングよりもファンコミュニティの活性化やコアファン向けの施策が有効であると指摘している。

同社は今回の分析について、放送前の注目度や初速が必ずしも作品の成否を決定づけるものではなく、クール中盤の転換点をきっかけに最終的な話題量を大きく獲得できる可能性を示唆している。

著者 経済/社会担当
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