続々始まる秋アニメ、今期は“海外発”が異例の多さに 中国、韓国、北米など6作品が展開


続々始まる秋アニメ、今期は“海外発”が異例の多さに 中国、韓国、北米など6作品が展開
『破産富豪 The Richest Man in GAME』© bilibili 閱文動漫 改編自閱文集團旗下起點讀書小說

​2025年10月から放送・配信が始まる「秋アニメ」が続々と開幕している。今期はのべ70作品程度がラインナップされており、人気続編から期待の新作まで多種多様な作品が並ぶ。そんななか、今期は“海外発”の作品が通常よりも多く展開されている。

具体的には中国や韓国に関連するタイトルが5作品、北米から1作品。これまで以上に多様な国々の作品が日本のアニメ市場に参入している。

中国発の“第2期作”が登場

なかでも過去の実績のあるタイトルとしては「龍族Il -The Mourner’s Eyes-」が挙げられる。本作は​累計発行部数3,000万部を超える中国のファンタジーノベルを原作とするアニメ「龍族」シリーズの第2期作。

主人公が背負う龍の存在とその運命を描くファンタジーとして、壮大な世界観や繊細な心理描写で紡がれるストーリーが中国国内の若年層からの支持を受け、2022年8月にアニメ化されると動画配信サイト「テンセントビデオ」の累計再生回数が5.7億回を突破した。

その後、2024年4月にアニプレックスのプロデュースにより日本後吹き替えにて進出、この度第2期の放送に至った。初回は10月9日(水)24時30分よりTOKYO MX、BS11にて放送予定となっている。

フジテレビの“中国発専門”枠に新作

続いて新作からは、​中国の動画配信サイト「bilibili」で総再生数1億回を超えたアニメ「破産富豪 The Richest Man in GAME」が日本語吹き替え版にて登場。事業で赤字を出すほど儲かるという斬新な設定が特徴のタイムリープサクセスストーリーとして、冴えない社畜だった主人公の人生逆転劇に注目される。

本作は10月1日よりフジテレビ「B8station」にて放送開始。B8stationとは、毎週水曜日25時40分からオンエアされる中国作品専門のアニメ枠として、フジテレビが「bilibili」と提携して2023年より運用されている。これまで「時光代理人」をはじめ現地で人気の作品を放送した実績があり、近年増加する中国発作品の展開を象徴する動きとなっている。

韓国発、中国アニメ化、日本上陸

一カ国だけでないユニークな取り組みとしては10月1日より初回1時間スペシャルで始まった「ある日、お姫様になってしまった件について」が挙げられる。こちらは韓国発の小説・漫画作品でありながら、中国・バイドゥ傘下の大手動画配信サービス「爱奇艺」でアニメ化、日本語吹き替え版制作という国際色豊かな展開となっている。

原作は電子版総閲覧数2億PVを超えているほか、国内でもピッコマやComicWalkerにて2019年より連載が行われており、アニメ化してほしいマンガランキング2024年第2位に選出されるなど注目されていた。吹替版のキャストには諸星すみれ、前野智昭、木村良平、岡本信彦、梅田修一朗、石見舞菜香と人気声優が多数起用されている。

北米原作、日本アニメ化のラブストーリーも

続いてアジア圏以外に目を向けると、今期は北米発の作品が現れた。​全世界購読者数680万人以上を誇る北米のWEBコミックをアニメ化した「Let’s Play クエストだらけのマイライフ」が2025年10月1日よりフジテレビ「+Ultra」ほかにて放送開始となった。

本作はアニメーション制作がOLMと日本企業であるため、あくまで原作のみ海外。ゲームクリエイターを夢見る主人公の、恋愛や仕事、友人関係などを通して成長していく姿を描く、大人のラブストーリーが描かれる。

​まだまだ続く中国発、ファンタジーに強み

このほか、中国発はほかにも2作品も存在する。(いずれもイマジニアが国内配給を担当しており、ストリーミング配信のみ)。

中国発の人気アニメ「シンデレラ・シェフ~萌妻食神~」の日本語吹替版が10月1日よりdアニメストアなどで始まった。現代の女性シェフが古代にタイムスリップし、料理の腕で運命を切り開いていく物語として飯テロとラブコメ要素を兼ね備えた、新感覚のグルメアニメとなっている。

そして、前述した「bilibili」制作によるアニメ「不死身な僕の日常」の日本語吹替版も同じく10月1日よりdアニメストア、ABEMAにて先行配信を開始した。最強すぎる霊力を持つ少年が、その力を隠しながら高校生活を送ろうとするも、次々と事件に巻き込まれていく学園コメディが展開される。

過去に放送されてきた作品と同様、今期も海外発タイトルはファンタジー・コメディ系が中心となっており、特に数が多いことから、今後の展開にも注目したい。

著者 経済/社会担当
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