アニメ制作大手のIGポート、大幅増収も制作事業の損失拡大「人件費高騰」「制作長期化」など原因

「Production I.G.」「WIT STUDIO」などで知られるアニメーション制作大手のIGポートは11日、2025年5月期の本決算を発表し売上高145億9827万円(前期比23.3%増)、経常利益14億2028万円(前期比2.9%増)、当期純利益は8億2801万円(前期比28.5%減)を計上したことを明らかにした。
中核となる映像制作事業の売上高は73億1883万円(前期比17.9%増)となった一方、営業損失は11億162万円と、9億4005万円の営業損失だった前期から拡大した。テレビ用アニメでは「春夏秋冬代行者 春の舞」「怪獣8号 第2期」「SPY × FAMILY Season 3」等の制作を進めており、劇場用では「劇場版ハイキュー!! VS 小さな巨人」等を手掛ける。
損失拡大の背景について、同社は「制作期間の長期化や社員・クリエイター人件費の高騰など」を挙げた。また、当初の計画対比での下方乖離については、子会社の不調や「背景美術部門、撮影課及びCGモーションキャプチャスタジオの受注が不調。固定費が埋まらず損失を計上」があったとした。
低調となった制作事業に対して、作品を活用した版権事業では「君に届け」「ハイキュー!!」「進撃の巨人」「怪獣8号」「SPY × FAMILY」等のシリーズタイトルを中心とした二次利用による収益分配を計上し、売上高39億5616万円(前期比31.7%増)、営業利益19億3406万円(前期比6.1%増)となった。商品販売事業では中国・上海に自社ストアを開店。人気作品のキャラクター商品販売が好調に推移し、売上高8億7043万円、営業利益3億7786万円となった。
作品別売上構成比も公表されており、ハイキュー!! シリーズが最も多く24.5%、次いで怪獣8号の14.1%、進撃の巨人の13.3%、SPY×FAMILYの8.3%、魔法使いの嫁の3.5%、PSYCHO-PASS サイコパスの2.9%となった。