サンリオ、『進撃の巨人』など制作のIGポートに約17.6億円出資 アニメ化など念頭に積極提携

サンリオは17日、アニメ制作大手の株式会社IGポートとの資本業務提携契約を締結した。これにより、サンリオは7月3日付でIGポートの株式1,008,000株を約17.6億円で取得し、発行済株式総数の4.98%を保有する見込みとなる。
IGポートは傘下に「Production I.G.」「WIT STUDIO」を持つアニメーション制作大手。代表作は君に届け」「ハイキュー!!」「怪獣8号」「進撃の巨人」「攻殻機動隊」「SPY×FAMILY」などで、これら人気作品の制作や版権事業を展開している。一方のサンリオは「キティ」「マイメロディ」などでおなじみのサンリオキャラクターズの権利保有やライセンスビジネスを展開している。
両社の提携は第三者割当増資とIGポート代表取締役社長の石川光久氏からの株式譲渡により、サンリオがIGポートへ出資する形で行われる。この資本参加により、キャラクター事業を展開するサンリオと映像制作を手がけるIGポートグループが戦略的な協業関係を構築するとしている。
「映像化」「商品化」などで両者提携へ
今回の資本業務提携における協業可能性として、まずはサンリオキャラクターズのコンテンツをIGポートの傘下制作会社による映像化・アニメ化を挙げた。
「アニメ放送や配信等を行うことで、日本市場のみならず、北米・欧州を中心とした海外市場でのIP認知度のさらなる上昇と、キャラクターの持つブランド感 や世界観の深化をしてまいります」と意図を説明しつつ、「今後、具体的な制作内容・公開日が決定した場合は適切に公表いたします」とコメントしている。
一方、IGポートからサンリオへのアプローチとしては、IGポートの制作作品に登場するキャラクターを、サンリオの事業基盤を活用した商品化・ゲーム化などを挙げた。これにより新たなファン層の獲得と事業機会の創出を目指す。
両社はまた、「新規IPの共同創出・開発・取得及び育成」についても検討することに合意。特に北米市場のニーズに基づく映像作品制作を起点としたIPビジネスの創出を見込んでいるという。
サンリオの辻朋邦社長およびIGポートの石川光久社長はそれぞれ提携への期待を示した。
各代表コメント
■株式会社サンリオ 代表取締役社長 辻 朋邦のコメント:
弊社は10年間の長期ビジョンとして“みんなを笑顔に導く灯台に- Roadmap to a World of Smiles -”を掲げ、グローバルIPプラットフォーマーを目指すことを発表しております。我々が目指す姿の実現のためには、「グローバル映像制作機能」の具備など、顧客エンゲージメントを深める「接点」への投資が重要であると考えており、同投資によって、弊社の安定基盤、安定成長を実現し、延いては世界中で笑顔になる人を増やしていきたいと考えております。世界有数のアニメーションプロダクションであるIGポートへの資本参画はまさにこの方針に合致するものであり、両社の人材交流を通じた弊社の映像ケイパビリティの強化はもとより、映像を主軸として、弊社IPを新たな形で皆様に提供することが可能になるほか、IGポートの制作作品に関連するIPの商用化や、新規IPの共同創出により世界中の新たなファン層へのリーチ拡充等が可能になると考えております。本件は両社にとって大きな飛躍の一石となるものであると考えており、今後も弊社は、自社はもちろん、他社様のIPも併せて後押しできるIPプラットフォーマーの実現に向け、積極的な投資を続けていく所存です。
■株式会社IGポート 代表取締役社長 石川 光久のコメント:
IGポートグループはこれまで、アニメやコミックを通じて日本発のIPを創り続け、世界に届けてまいりました。サンリオ社のキャラクターは、長い歴史と高い認知を持ち、グローバルで確固たるブランド
として確立され、世代や地域を越えて親しまれてきました。その歩みには学ぶべき点が多く、深い敬意を抱いています。
今回の資本提携により、サンリオ社のキャラクター力と当社グループのコンテンツ制作力が融合し、キャラクター文化とアニメ・マンガ文化を、より広く世界に発信できると期待しています。