スクエニ、株主からの「リメイクやシリーズ中心」懸念に回答…ドラクエ、FF含め“量から質”の転換へ


スクエニ、株主からの「リメイクやシリーズ中心」懸念に回答…ドラクエ、FF含め“量から質”の転換へ

ゲーム開発、IP大手のスクウェア・エニックスは6月末、同社の定時株主総会を開催し、出席株主に向けて事業方針の説明や質疑を行った。

質疑応答では、通期決算の際に公表されていた「量から質」への転換に関する戦略に関する内容が複数寄せられた。同社ゲーム事業は昨年からの中期計画期間を「再起動の3年間」とも表現しており、この量から質戦略を通じて「主要IPを中心に大型タイトルの安定的な投入を目指す」との方針を示していた。

新規IP創出には積極的、DQ&FFでの成果は「多様なメディア展開を視野」

この戦略や目指す新規IP創出について、株主から「昨年度はHDゲームで新作や新規IPがなく、リメイクやシリーズ作品が中心となった。その結果、小中学生が当社のゲームに触れる機会が減少し、将来的に当社でゲーム開発を志す人材の育成に不安を感じている」との指摘があった。

これに対し議長を務めた代表取締役は「昨今のゲーム業界では新規IPの創出が困難な状況にあるが、少しでもその機会を創出すべく取り組んでいる。TBSテレビとの協業による『KILLER INN』など、新たなIPやジャンルへの挑戦を継続していきたい」「パラノマサイトのような成功事例では、IPを単に作るだけでなく、育んでいくことも重要と認識している」と回答した。

加えて「今後は、小中学生を含む幅広い層に楽しんでもらえる機会の創出にも注力していく」とも述べた。

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また、現在のゲーム事業を牽引する「ファイナルファンタジー」シリーズや「ドラゴンクエスト」シリーズでは「可能であれば毎年交互に発売して欲しい」「量から質を重視することは賛成だが、バランスを取ってもらいたい」との要望も寄せられた。

これについて、議長は先の「再起動の3年間」の後に「大型タイトルのみならず、モバイルを含めた多様なメディア展開を視野に入れている」と言及。「新しいタイトルを量と質のバランスを保ちながら、安定的に提供できる体制へと着実に移行しつつある。その成果については、今しばらくお待ちいただきたい」と期待を含ませた。

このほか新作展開についても質問が寄せられ、株主から「コマンド型RPGで出してもらいたい」との要望もあり「コマンドバトルは当社にとって原点とも言える重要なバトルシステムであり、今後も大切にしていくべき要素であると認識している」と応じていた。

一方、ファイナルファンタジーXIVに関しては『黄金のレガシー』以降のコンテンツ品質低下を懸念する指摘もあった。これに対しては「現在、『ファイナルファンタジーXIV』は、『暁月のフィナーレ』から『黄金のレガシー』への移行に際し、ストーリーの刷新を含め、新たな取り組みに挑戦している。今後の10年を見据え、開発チーム一同、全力で取り組んでいる」と説明した。

なお、FFに関する質疑は、総会後に発言がSNSなどで意図とは異なる形での拡散がされているとして注意を促していた。その他、ニーアシリーズのIP展開、クロノ・トリガーのリメイク可能性などについても質問があったが、提案にとどまっていることなどから、具体的な回答は控えられた。

著者 編集部 経済・社会担当
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