「絶版したドラクエ開発秘話の漫画を復刊して」スクエニ株主の提案に「私も読んでみたい」前向き回答


「絶版したドラクエ開発秘話の漫画を復刊して」スクエニ株主の提案に「私も読んでみたい」前向き回答
「第45回定時株主総会 開催概要」より

ゲーム開発大手のスクウェア・エニックスは6月25日、自社の定時株主総会を実施し、議長が株主からの質疑に回答。先日ホームページに質疑概要が公開され、「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」といった同社の看板タイトルに関する質問や現状認識を問う声が聞かれた。

そのなかで、ある株主から異なるアプローチでの質問・提言が行われた。質問要旨によると、株主は35年前に発売された「ドラゴンクエスト」の開発秘話を描いた漫画作品が絶版状態にあるなかで、復刊や電子書籍化を検討してほしいというもの。

ここで挙げられている漫画とは『ドラゴンクエストへの道』(全監修:石ノ森章太郎、作画:滝沢ひろゆき)で、会社統合が行われる前のエニックス出版部門が企画して刊行された。説明によると、制作にあたっては堀井雄二氏やすぎやまこういち氏、鳥山明氏の協力もあったという。

そんな提言について、議長を務めた代表取締役の桐生隆司氏は「過去の作品にも目を向け、その可能性を探ることは重要である。いただいたご意見は、出版部門に共有する。私もご紹介の作品を読んでみたいと思う。」と、他の質問とは一歩踏み込んだ回答がなされていた。

なお、同社は「ガンガン」ブランドを筆頭に出版事業を有しているが、今回の提言にあるようなアーカイブ展開についても「非常に大きなビジネスの可能性がある」との見解を示した。

当該質疑全文(2025年6月25日開催 定時株主総会概要公開のお知らせ)

――出版事業に関し、新作だけでなく過去の出版物を活用する方針はあるか。例えば、35年前に発行された、ドラゴンクエストの開発秘話を描いた漫画作品は、現在絶版となっており入手困難である。この作品では、著名なクリエイターや関係者が登場し、開発の舞台裏が詳細に描かれている。若い世代にとっては創作の刺激となり、ブランド価値や売上向上にもつながる可能性がある。また、HD-2D版『ドラゴンクエストⅠ&Ⅱ』の発売に合わせて関連作品の復刊が報じられているが、それに続いてこの作品も電子書籍化・復刊を検討して欲しい。

【回答】出版事業については、先ほどご説明のとおり注力をしていきたいと考えるなかで、デジタルの活用は大きな可能性があり、その中でも過去に発行された作品(アーカイブ)をどのようにお客様に届けるかという点も、非常に大きなビジネスの可能性がある。新しい作品を生み出すだけでなく、過去の作品にも目を向け、その可能性を探ることは重要である。いただいたご意見は、出版部門に共有する。私もご紹介の作品を読んでみたいと思う。

著者 編集部 経済・社会担当
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