東南アジア、世界2位のスマホゲーム市場に 収益は及ばぬも、地元の開発企業が頭角現す


東南アジア、世界2位のスマホゲーム市場に 収益は及ばぬも、地元の開発企業が頭角現す
ベトナム ホー・チ・ミン中心部(編集部撮影)

モバイルアプリ分析企業のSensor Towerが16日に発表した2025年の東南アジアモバイルゲーム市場調査によると、同地域は2025年第1四半期にモバイルゲームのダウンロード数で世界2位に躍り出た。新規インストール数は19億3000万に達し、前四半期から3%の成長を記録した。

同地域のアプリ内課金収益は6億2500万ドルで世界7位にとどまっているが、これはインドネシア、フィリピンなど億単位の人口を有する地域が経済発展途上であることに起因する。スマートフォンも広く普及するなかで、調査元は収益拡大の余地があると分析している。

タイが収益トップ…アプリ課金が受け入れられやすい特性あり

国別に見ていくと、ダウンロード数ではインドネシアが8億7000万で首位を占め、前四半期から9%の成長を示した。フィリピンが3億6600万、ベトナムが3億2900万で続いている。

一方、収益面ではタイが第1四半期に1億6200万ドルのアプリ内課金収益を記録し、地域内でトップとなった。諸国と比べて経済発展が一歩進んでいることに加え、デジタル決済システムの発展やアプリ内課金に対し比較的受け入れられやすい環境が背景にあると分析されている。インドネシアとマレーシアも収益面で堅調な実績を見せている。

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ジャンルで見てみると、アーケードやシミュレーションゲームなどアクセスしやすいジャンルがダウンロード数で高い数値を示している一方、収益面では戦略系、MOBA、シューティング、RPGなどの没入型ジャンルが上位を占めている。パズルゲームも特に参加しやすく話題性の高いタイトルが好調を維持している。

ベトナムなど地元ゲームパブリッシャーの存在感が増す

そして、新たな動きとして挙げられるのが東南アジアを拠点とするパブリッシャーの存在感の拡大だ。2024年には同地域のパブリッシャーが全体でモバイルゲームダウンロード数の世界1位となり、58億のインストールを獲得した。特にベトナムの3社のパブリッシャーが世界のダウンロード数トップ15に入り、同国のゲームパブリッシング分野での影響力の高まりを示している。

2025年第1四半期では、シンガポールのGarenaの『Garena Free Fire』が世界のダウンロード数上位にランクインし、ベトナムのiKameの『Car Race』も世界的な人気を集めた。

特に、インドネシアパブリッシャーの一部のヒットタイトルにおいては、単純に言語翻訳するだけではない、国外企業が模倣しづらい「ハイパーローカル」な戦略があるという。具体的には、地域文化に関連したコンテンツや民族伝承に影響されたキャラクターなどがあるといい、イスラム教が多数派を占める同国ならではの「ラマダン(断食月)キャンペーン」といった取り組みも存在する。「文化レベルでプレイヤーとつながることで、ゲームが深い共鳴をもたらし、プレイヤーの強いロイヤリティが育まれるようになります。」

著者 編集部 IT/デジタル担当
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