総務省の割引規制がiPhoneの優位性を高めている―調査会社が指摘 高額Androidは不利な状況に


総務省の割引規制がiPhoneの優位性を高めている―調査会社が指摘 高額Androidは不利な状況に

国際調査会社のカウンターポイント・リサーチは5月下旬、日本国内の高価格帯スマートフォン市場における調査報告を公表。総務省が2023年に導入したスマートフォン端末の割引規制が、その意図に反してiPhoneの支配的地位をさらに強固にしていると指摘した。

2023年末に行われた同規制はいわゆる「1円スマホ」類されるような、通信キャリアによる過度な割引販売を是正し、市場の健全化を図る目的で実施されたもの。端末価格が4万円から8万円までの場合は端末価格の50%、4万円以下の場合は2万円が値引き上限となっている。

ただ、この新たな規制環境下では、中古市場においてiPhoneが「実質1円」の施策に適した製品として位置付けられ、競合製品との格差が拡大していると指摘している。

ここでの「実質1円」とは、利用者が一定期間後に端末を返却することで総支払額を大幅に削減できる返却プログラムを指す。一般にiPhoneは中古市場での価格下落がAndroid端末と比べるとかなり緩やかなため、この販売手法において他ブランドに対して構造的な優位性を持つとされている。

0602-2z1if7i0
2024年時点でのスマホ返却プログラムの支払事例。極端な例では「年間12円」等

こうしたなか、2024年末から施行された新たなガイドラインでは、返却プログラムを利用した過度な割引を規制するための新たな方策として、一般社団法人リユースモバイル・ジャパン(RMJ)が設けた中古価格の基準算定をキャリア割引上限の参考額に活用する案が採用された。

高価格帯スマホは92%が「iPhone」

しかし、この新しい施策でもAndroid端末はiPhoneに比べ低い査定額が適用され、最終的な利用者負担が増加したと分析した。実際、各キャリアではiPhoneの返却プログラム価格に大きな変化は見られなかったが、Android端末、特に10万円を超える高価格帯のなかには1.8倍増など、大幅な値上げが確認された。

iPhoneが日本市場で大きなシェアを持つ根本的な要因にはブランド力の高さなど複数の事象が存在し、中古市場でも高単価かつ多数取引されることにもつながっている。そのうえで、現在の規制枠組みでは「過度な値引きは抑制されているものの、新たな規制は意図せず消費者の選択肢を狭めてしまっています。価格帯をまたいだ競争を維持するためにはよりバランスの取れた政策アプローチが必要になるかもしれません」(前同)と指摘した。

0602-blizdqhm

同社の調査によると、日本の高価格帯スマートフォン市場(800ドル以上)は2023年から2024年にかけて前年比14%成長したが、Appleは依然として92%を占め、圧倒的なシェアを維持している。実質的、高価格帯のAndroid端末は「Galaxy S25」シリーズや「Xperia」など数少なく、各メーカーはiPhoneとの直接競争を避け、低価格帯製品に注力する傾向を強めている。

著者 編集部 IT/デジタル担当
ほんの少し視点を変えてみるとテクノロジーはもっと面白くなる。そんな考えのもと、最新のIT、ガジェットに関するホットな話題や、エンタメを楽しむならコレ!といった耳寄り情報も提供しています。