ファスト映画の“文章版”サイト運営会社を送検 ゴジラ、仮面ライダーの映画をネタバレ公開


ファスト映画の“文章版”サイト運営会社を送検 ゴジラ、仮面ライダーの映画をネタバレ公開

宮城県警察本部と南三陸警察署は20日、映画の著作物の内容を無断で文字起こしして公開したとして、仙台市在住の会社経営者の男性ら男女5名と運営会社を著作権法違反の疑いで仙台地方検察庁に送致したことを明らかにした。法人が著作権法違反の疑いで送致される事例は少なく、非常に希なケースだという。

捜査に協力したCODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)が発表したところによると、この男女らは2023年11月、東宝株式会社が著作権を持つ「ゴジラ-1.0」など4作品、東映の「シン・仮面ライダー」など2作品、KADOKAWAの「首」など1作品、円谷プロダクションの「シン・ウルトラマン」について、登場人物の名称やセリフ、動作、場面展開などストーリー全体の克明な内容を権利者に無断で文字起こしし、関連画像と共に自社運営サイトに掲載。広告収入を得ていた。

当該サイトには少なくとも8000作品以上の映画が掲載され、それぞれの作品について冒頭から結末までの詳細な内容が確認できるようになっており、いわゆる「ファスト映画」の文字版とも捉えられる内容だったとしている。

本件は昨年10月に宮城県警が初検挙した別の文字抜き出しサイト「サイトA」とは異なるサイトで、警察からの依頼を受けCODAが被害権利者の取りまとめを行い、今回の摘発に至ったとされる。

警察の捜査では、5名の役割分担として、全体統括を行う会社経営者、記事公開担当の従業員、報酬を受けて記事作成を担当するライターに分かれていたことが判明。さらにライターについては人材エージェントを通じてアルバイトを募集していたことも明らかになり、組織的に著作権侵害行為を行い、営利目的でサイトを運営していたことが確認された。

CODAは「ネタバレサイト」と呼ばれるこのような文字抜き出しサイトについて、正当な対価を支払う意欲を低下させるなど悪質なものであると言及。こうしたサイトの利用が犯罪者に間接的に収益をもたらし、権利者の利益を損なうとして、安易な利用を控えるよう注意を促している。

また、「これらの行為が適法な引用の範囲を超えた著作権侵害であることを多くの方に認識していただきたいと考えています」とも呼びかけている。なお、各種メディア媒体では映画情報を取り扱う際に本編に係る内容を掲載する場合、権利者が掲載可能ラインを定めていることがある。

著者 編集部 経済・社会担当
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