官民ファンドのクールジャパン機構、累積損失は397億円…経営改善を強く要請 9割が政府出資

会計検査院は16日、国と民間が共同出資する「官民ファンド」の業務運営状況に関する検査結果を国会に報告。そのうち、いわゆる「クールジャパン機構」については累積損失が2023年度末時点で397億円に上ったことが分かった。
会計検査院が文書にて公表した調査報告によれば、令和5年度末時点で存在する23の官民ファンドのうち、14ファンドが累積損益で赤字となっている。赤字額としては、国土交通省所管の「海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)」が最も多い954億円となり、次いで「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」という結果になった。
クールジャパン機構とは2013年に設立された官民ファンド。機構はクールジャパンを「生活文化の特色を生かした魅力ある商品又は役務」と定義。日本食やレジャー、地域産品、観光資源、コンテンツなどの需要を開拓し「日本経済に新たな付加価値を付与し、我が国の経済成長に繋げる」ことを意義に運用している。

国の出資比率高いクールジャパン機構、31年度までに損失解消目指す
クールジャパンはアニメなどの映像コンテンツの印象も強いが、出資先に占めるコンテンツ関連企業は27%台であり、観光などのサービス業が多い状況となっている。その同機構だが、これまでEXIT(支援終了)した17件の出資について、支援額261億2500万円に対し回収額は156億8000万円と、のべ104億円の損失を計上していることがわかった。
また、2033年の最終年度における累積損益額を「10億円」と想定しているが、会計検査院は見込み額であった150億円を大幅に下回っている。これに対し、機構側は機構が設定した「31年度までに累積損失の解消を目指す」との計画を立てている。

同機構は官民連携で設立されたファンドであるが、その出資比率は国が1236億円、市中(民間)が107億と、90%以上が国庫納付が〆ている。こうした状況を踏まえ、会計検査院側は「産業投資の資本コストを上回る収益の確保に向けた一層の経営の改善に努める必要がある」と公表している。
なお、同機構は直近4月にもサブファンドである「ジャパンコンテンツファクトリー投資事業有限責任組合」 とその運営会社を解散したことも明らかにした。2018年に「海外展開を目指す日本の映像コンテンツ制作を支援するため」設立したものの、成果が表立って公表されない状況となっていた。