ニコニコ、有料会員数が100万人割れ 離脱傾向に“カード決済停止”が拍車かける

株式会社KADOKAWAが5月8日に公開した2025年3月期通期連結決算によると、同社Webサービス事業に属するコミュニティサービス「ニコニコ」のプレミアム会員数が98.9万人となり、100万人を下回っていることが明らかになった。
ニコニコの有料会員数は「VISA決済停止」問題影響…流通額は増加傾向
100万人を下回ったのは、急成長を続けていた2011年以来で、直近8年の下落傾向では初となった。特に最多だった2016年〜17年の250万人台と比較すると半数を割っている。
近年は下落基調であったものの「社会情勢を鑑みたポリシー厳格化によるカード決済停止(※)が発生」したことが一部会員の離脱に拍車をかけたと同社は説明。過去期間分を含めて約▲2億円の売上減につながったとした。
なお、ニコニコのGMV(流通取引額)については上昇トレンドだと説明。これはニコニコチャンネルの定額課金や、生放送サービスにおける“投げ銭”などを喚起する施策が影響しているという。
※ニコニコではVISAブランドのクレジットカードが2024年5月から2025年2月まで約9カ月にわたり停止措置が行われていた。同時にMastercard・American Expressも停止されており、一時的にJCB以外利用できなくなる事態となった。
Webサービス事業はサイバー攻撃被害で減退、来期は回復見込み
同社は昨年6月にサイバー攻撃による大きな影響があったことが記憶に新しい。各事業において影響を与え、営業利益は9.8%減の167億円、純利益は35.1%減の74億円と響いた一方、サイバー攻撃の影響を除外した場合の試算では、売上高は11%増、営業利益は16%増となっており、期初および直近の業績予想を上回る結果となった。
しかしながら、Webサービスセグメントはがサイバー攻撃の被害を直接的に受けたことが響き減収減益となった。攻撃被害による影響は売上高▲39.5億円、営業利益▲21億円とされている。特にニコニコ関連事業は影響が大きく、6~8月までのサービス停止による売上逸失により減収影響は▲39.5億円とされた。
2026年3月期の通期連結業績見通しで連結全体で増収増益を計画している。Webサービスセグメントにおいても、攻撃被害の影響から反動する形で増収増益を計画しており、ニコニコ関連事業は「インフラ投資費用が減少も、有料会員数の減少影響や、コンテンツ獲得等の費用増も織り込む」とした。
中期計画ではニコニコの今後の目標として「ニコニコで人気となるクリエイターが持続的に生み出される仕掛けの継続実施」「クリエイターが世界で活躍できる機会を創出」「特にニコニコ発のクリエイターが生み出す音楽IP等によるライセンス収益の最大化を図る」などを掲げている。