都心部の「偽基地局」問題、個人でできる対策は 総務省も「関係機関と対応中」公表

4月15日、村上誠一郎総務大臣は東京都心部と大阪市周辺で携帯電話の通信を妨害する「偽携帯基地局」の存在がSNSを中心に報告されていることに言及し、総務省もこれを把握し対応に乗り出していることを明らかにした。ここでは改めて内容や対策を整理したい。
Xでは直近より都心部での不審なメッセージや、非正規とみられる電波の発信が有識者の間で共有され、一部投稿は数万いいねを超える拡散を集め広く認知された。これを受けて15日の記者会見で総務相は個別のSNS投稿の真偽について回答を控えつつも、都内周辺で携帯電話サービスの混信事案が発生していることを認め、関係機関と連携して対応中であることを述べた。
掲示板やSNSで寄せられた報告によると、この偽基地局はかつて国内で商用利用されていた2G通信の周波数帯を悪用し、正規の基地局の電波を妨害して強制的にスマートフォンを2G通信に切り替えさせる仕組みがあるという。これらの電波の発信元は通信機器を積載した不審な車両などが報告されている。
観光客からも不審なSMS報告…対策は「2G無効」が有効と話題
2G通信は暗号化や端末側での認証の仕組みが脆弱であり、偽基地局はこれを利用してSMSの傍受やフィッシングメッセージの送信を行う可能性が指摘されている。実際に、被害に遭ったとみられるユーザーからは不審なSMSが届いたとの報告も多い。また中国SNS「小紅書」では「旅行中に銀聯(大陸系クレカブランド)公式を名乗る詐欺ショートメールが届いた」との報告が今月初頭にも見受けられ、日本語以外での発信が確認された。
こうした偽基地局(IMSIキャッチャー)は今でも2Gが用いられる発展途上国を中心に確認され、海外で販売されるスマートフォンには「疑似基地局ブロック」機能を備えるものも多い。そもそも日本国内で2Gサービスは終了していること、ショートメールの多くが外国語であることも鑑みると、訪日外国人をターゲットにした可能性も指摘されている。
この件は総務省による発表後、携帯キャリア各社の声明もあり、さらに広く認知されることに。これが影響したのか16日以降に記者が銀座、内幸町、渋谷、新宿などの駅近辺で確認したところ、auや楽天の周波数帯で2G電波(GSMなど)は確認できなかった。しかしながら、SNSでは報告も少なからず上がっており、依然行われている可能性もある。
では偽基地局の電波を掴まないためにはどうすればよいか。現状で有効な対処法として、端末側で2G通信を無効にする設定が推奨されている。Android端末の一部では「設定」→「ネットワークとインターネット」→「インターネット」から契約通信事業者の設定画面を開き「2Gを許可する」をオフにすることで2G接続を拒否できる機能が用意されている。なお、設定をオフにした場合でも緊急速報に用いられる2Gは引き続き有効となる。
明らかに不審なメッセージは削除を徹底
また、iPhoneの場合は、セキュリティを強化する「ロックダウンモード」を有効にすることで、2G通信を無効にできる。(ただしその他の機能制限もかなり強めなのでご注意)
そして万が一、偽基地局に接続されて不審なSMSが届いた場合はメッセージを開かずに即座に削除し、リンクのクリックや返信を行わないことが重要となる。また、個人宛に中国語などでSMSが送られる日本人は極めて少ないため、外国語からのテキストには偽基地局に限らず日頃から注意したい。
総務省や携帯電話各社は今回の事案に対し情報収集と対応に当たっているといい、個人では対応できない、他規格での混信などの影響にも注視される。