BS松竹東急、6月末で放送終了 リモコン割り当て無しで苦戦…同時参入のJapanextは10chを確保

BS松竹東急株式会社は3月31日、「BS松竹東急」の放送を2025年6月30日24時(深夜0時)をもって終了すると発表した。これは、主要株主である松竹グループがBS放送事業からの撤退を決定したことを受けたもの。終了後の対応については「現在未定」としており、今後改めて案内するとしている。
BS松竹東急は、その名の通り松竹と東急が提携し2022年3月に開局した新しいBS放送局で、BS260chにて全国無料放送を展開。プロ野球をはじめサッカーやフットボール、ゴルフなどのスポーツ中継をはじめ、ドラマや映画などのコンテンツも提供してきた。しかし、この度開局から約3年での放送終了となる。
この決定の背景となったのが、公式も説明する松竹の撤退だ。松竹は今年2月、BS放送事業からの撤退を決議し、関連会社であるBS松竹東急の撤退費用について「適切な範囲で負担する」と発表していた。また、昨年10月にも松竹は同局の業績不振を理由に38億円の特別損失を計上するなど、厳しい状況が続いていた。
特損発表当時、松竹は同局について、スポーツ中継の視聴率や認知率は「順調に推移している」としていたが、放送コマーシャルなどの広告売上高の伸びが当初計画を下回っていると言及していた。

この「BS松竹東急」は2022年3月に「BSよしもと」(265ch)「BS Japanext」(263ch)と3局同時に開設され、BS放送局としては2007年開局の「BS12」以来として話題になった。しかし、いずれも1〜12までのリモコンボタンに割り当てられず、ザッピングが困難であることから新規の視聴者層の取り入れが難しいことが指摘されていた。

同時期開局の「Japanext」はM&Aで「10CH」を獲得
そうしたなかで、3局の一つBS Japanextは今年1月10日、映画専門有料チャンネル「BS10スターチャンネル」と合併する形で名称を「BS10」にあらため、新たなチャンネルポジションを獲得。これにより、リモコン「10」ボタンによるザッピングが実現し、他2局とは異なる方針での成長を図ることとなった。

この対応について合併時、ジャパネットホールディングス代表取締役社長の髙田旭人氏は過去2年で「難しく赤字も出た」とテレビ事業の厳しさを吐露し、「このままだといくら想いがあっても続けられない、撤退するか進むのか、協議を重ね、その時、リモコンの中にあるチャンネルボタンに移行できないか」との思いで行ったと明かしていた。