松竹、直近決算で経常赤字42億円と業績急変 映像や演劇の収益悪化で今年度3回目の下方修正
松竹は今月14日、2025年2月期第3四半期決算を公表。前年同期の8億4700万円の黒字から一転、41億9600万円の経常損失を計上している。同日には通期業績予想の再度の下方修正も発表し、通期経常損失は49億4000万円、純損失は18億7000万円を見込んだ。
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同社の予想下方修正は昨年4月以来、すでに3度目となり、今回の発表理由について、演劇事業で団体顧客の回復が遅れていること、秋から年末年始にかけての興行が低調だったこと、運営する映画館の興行収入見直し、配給作品において「当初の配給収入の見込みに届かない作品がある」ことなどを挙げている。
中核となる映像関連事業において、配給した昨年1月公開の劇場版「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」が50億円超の興行収入を記録するなど、一部作品でヒットを生み出したものの、直近第3四半期の事業利益では5億4800万円の赤字へと転落。上映本数は邦画9作品、洋画6作品、アニメ7作品と作品供給を続けたが、製作費や宣伝費などのコスト増を吸収できなかった形だ。
演劇事業も同様に収益が悪化。歌舞伎座では11月に舞台機構改修を実施し、従来の歌舞伎公演に代えて「ようこそ歌舞伎座へ」を上演。インバウンド需要の取り込みを図ったものの、セグメント損失は前年同期の8億9100万円から11億6900万円へと拡大した格好となった。
主力事業が軒並み影響を受けた傍ら、不動産事業の安定収益が打撃を緩和している。歌舞伎座タワーや銀座松竹スクエアなど主要物件の高稼働が続き、セグメント利益は前年同期比9.2%増の45億5300万円を確保したが、主力事業の落ち込みをカバーするには至らなかった。各事業でのオンライン販売などを行う新規領域の開発分野では増益となっており、映像・演劇両事業の建て直しが急務となっている。